受験期の子どもが勉強そっちのけで夜遅くまでスマホに夢中になっている状況に危機感を持つ保護者も多いだろう。小児科医の成田奈緒子氏は、脳の成長のためには、勉強時間だけでなく、子どもの「からだの脳」を意識して育むことも重要だと話す。脳の土台となる「からだの脳」育ての方法とは?※本稿は、成田奈緒子『中学受験の落とし穴――受験する前に知っておきたいこと』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。
生命維持装置「からだの脳」を
意識して真剣に育てていますか?
子どもの脳には、育てられるべき順番があります。最初にきちんと育てられるべきなのが、「からだの脳」です。これは寝ること、起きること、食べること、そして身体をうまく動かすことを司る、生きるために不可欠な脳です。主に大脳辺縁系、視床、視床下部などの間脳や、中脳、橋、延髄などの脳幹部を指します。
生後5年間で育つ「からだの脳」は、いわば生命維持装置。生きるために不可欠ゆえ、放っておいても必ず育ちます。どんな育て方をしても、「からだの脳」が育たない子どもはいません。生きている限り、寝る・起きる・食べるは誰にでもできるように人間はできている。だからこそ、「より良い『からだの脳』を育てなくては!」と考えて取り組む親御さんは少ないのです。ここが現代の子育ての問題だと私は考えます。
本来電気や便利な道具のない時代であれば、この「原始人の脳」は自然によく育ちます。でも、夜も明るく便利になった現代では、「意識して真剣に」育てなければ、良い「からだの脳」は育ちません。