赤ちゃんが感情を調整する手助けをするのは小学生や10代の子供とはわけが違うが、同じスキルが求められるとラザフォードは述べている。「スキルを身につけておけば、生涯にわたってスキルを発展させ、様々な形で使えるでしょう」
依存症と子育てに関する著作で、ラザフォードは親の薬物使用やその再発の本質を真に理解するためには、親でない人とは「行動、認知、神経生物学的レベル」において異なることを認識する必要があると述べている。産後の気分障害や不安障害を理解し、対処するためにもその認識は必要だ。親になることが個人の人生や自己認識にとって何を意味するかを考える上でも。
ラザフォードは親が親でない人と異なるという考えはよく反発を招くと言う。研究助成金を申請する際や、自分とは専門分野が違う同僚と話す時などに「信じられない」という反応に出くわすそうだ。「親になることは人生の大きな変化です」と彼女は言う。「認めようが認めまいが、そうなのです」
育児で最も重要なのは
子どもに注意を向けること
私がラザフォードに会ったのは彼女が母親になる前、娘のアメリアが生まれる約4カ月前だった。産後間もない時期、パンデミックで英国の家族から遠く離れ、地元の社会的支援からも遠ざかっていた時期に、彼女は仕事への新たなアプローチを考えていた。
親になることで生じる睡眠の量だけでなく質の変化も捉え、脳にどんな影響があるかを分析できないだろうか?赤ちゃんの気質の変化は?朝、娘が目覚めた時に感じる、関わりたいという衝動、一緒に遊んでいる時に感じる喜び、それらがもたらす喜びの循環からも学んだという。
妊娠中と産後の脳の再編は、こうした衝動を発達させることを大きな目的としているようだ。「若い頃の恋愛のようである必要はないんです」とラザフォードは言う。「赤ちゃんに必要な食事や抱っこを提供できれば十分です。それ以上は素晴らしいボーナスです」。十分に抱きしめ、耳を傾け、応えること、それが愛なのかもしれない。







