2017年に次男のアシュリーが生まれてすぐブルメンタール医師は引退した。それでも彼の声は頭から離れなかった。そして今度は彼の言葉を心から信じることができた。
親になることは
人生が変化すること
もし新米の親が赤ちゃんからの刺激の洪水に晒されるだけで、それをコントロールする術がなかったら、本当に残酷だ。親にとっても赤ちゃんにとっても、そして子供を持とうとする意欲次第の私たち人間の未来にとってもありがたいことに、産後の最初の数週間に経験する過敏さにはもう1つの側面がある。
赤ちゃんの泣き声は親の行動を促し、同時に大脳皮質の領域が状況に応じて泣き声を理解する手助けをする。母親の脳では自己制御に関わる部分に構造的、機能的な変化が起こる。前頭前皮質や帯状皮質が含まれるこれらの部位で、灰白質の体積に長期的な変化が起こり、赤ちゃんのサインへの反応が高まることが確認されている。
産後の時期の脳の感情調整の仕方は、人生のどの時期とも異なる可能性をラザフォードらは指摘する。これは、赤ちゃんの強い感情的な要求と、赤ちゃんには自己調整能力がほとんどないという事実による。親は赤ちゃんの「外部にある前頭前皮質」のようなものだと彼女は考えている。
赤ちゃんが空腹で泣くと親は授乳し、ゲップをさせ、再び落ち着かせる。赤ちゃんが疲れて泣くと親は布でくるみ、揺らし、静かになるまで抱きしめる。自分の疲労やイライラ、心配を抑えながら行うにはかなりのエネルギーが必要だ。
ラザフォードによると親も最初から上手にできるわけではない。まずは意識的に反応したり、「私にはできる。深呼吸しよう」といった自己暗示から始めるといいかもしれない。時間が経てば子供のニーズに注意を払いながら自己調整する能力が習慣化していくはずだという。
ただし、これは親が決して腹を立てたり感情的になったりしてはいけないという意味ではない。極端に不安定な別の存在=赤ちゃんの世話をしながら、自分の感情に対処する能力を養うということだ。それは長期的な親の人生にとって重要かもしれない。







