時間を制限した結果、速いスピードで課題を進めざるをえなくなる状況は、やる気をかき立てる要因になる場合がある。英文で100ワードの文章を書くという退屈な課題も、現実的な時間制限(たとえば15分とか)を課すことにより、挑み甲斐のある課題と感じられるようになるかもしれない。

 期限が近づいてカウントダウンが始まり、アドレナリンが血液中に放出される。そして、最後には、成功か失敗かが明確になる。課題に時間制限を課すことは、「フロー状態」(編集部注/高いレベルで集中力を発揮し、目の前の課題に没頭する心的状態)を実現するためのいくつかの条件(スキルと課題を釣り合うものにすること、ほどよく手ごわい課題に取り組むこと)を実現する手立てになりうる。

 これは、字数制限なしで自己紹介文を書こうとすることと、たとえば7ワードちょうどで自己紹介文を書こうとすることの違いに似ている。字数制限があるほうが課題としては難しいが、人はたいてい、こちらのタイプの課題に取り組もうという意欲をいだきやすいのだ。

 繰り返しおこなう課題の場合は、自己ベストの更新を目指してもいいだろう。1時間に書く文章の量や、30分間で処理する電子メールの本数、15分間のデータ入力でのミスの数などを基準にすればいい。

 スピードを追求することを受け入れて、それを楽しむことができれば、生産性の向上という喜ばしい副産物を手にできる。