しかし、シンプルであることは大きな魅力でもある。比較的シンプルな個々のタイムボックスを分析し、それをやり抜くための枠組みとしては十分に役に立つ。

洗濯が終わったばかりの衣類を
干す場合に考えるべきこと

 前ページの三角形は、時間が足りない状況で取るべき選択肢を考える枠組みとして用いることができる。以下では、5つの選択肢を紹介する。洗濯機で洗濯が終わったばかりの衣類をどうするかという例を使って説明したい。

・クオリティを減らす

 言い換えれば、スピードを速める。ただし、パニックになって突き進めというのではない。慎重に加速することも可能だ。たいていの場合、悪影響を最小限に抑えつつ質を落とすことにより、クオリティとスピードの間で適切なバランスを取る方法はある。洗濯の例で言えば、「洗濯済みの衣類を素早く干そう。ただし、急いで干すので、ちょっと皺が多くなるかもしれない」と考える。

・スコープを減らす

 やることを減らす。ときには、課題の一部の要素を簡単に切り離せる場合もあるだろう。そのようなケースでは、取り除いても最も問題が少ない要素を取り除き、予定どおりの時間に課題を終わらせよう。「私や家族がいまいちばん必要としている衣類を干そう」(私の一家の場合、それはほぼつねにブラジリアン柔術の道着だ)

・時間を増やす

 課題の終了期限を延ばす。課題を終わらせるのにもっと時間が必要な場合は、そのタイムボックスの終了後にほかの重要課題が予定されていないのであれば、少し時間を延長するのもひとつの方法だ。デジタル・カレンダーで時間を少し延ばすことは、数秒もあればできる。「洗濯済みの衣類をきちんと干すために、あと10分費やすことにしよう」

・コストを増やす

 援軍を求める。タイムボクシングは、個人の生産性を向上させるための手立てであり、それを実践するための(重要ではあるが)唯一のコストは実行者の時間だ。したがって、誰かの支援を求めるなどして、課題につぎ込むコストを増やしても、スケジュールの遅れを取り戻せるケースはほとんどない。それでも、そのような選択肢が存在する場合もある。「家族に手伝ってもらおう」