感じの悪い人は「リスケメール」が失礼。じゃあ、感じのいい人はどう書く?
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さん。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
この連載では、「顧客ロイヤルティ」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

感じの悪い人は「リスケメール」が失礼。じゃあ、感じのいい人は?Photo: Adobe Stock

感じのいい人が書く「リスケメール」とは

 申し訳ないことはわかっている。だけれど書かなくてはならない。
 だからこそ、書き方に苦労する。

 その一つが、「リスケジュールのメール」ではないでしょうか。
 メールライティング研修をする際も、よくいただく質問にいただきます。

 本来は、最初に入った約束が最優先です。
 若い頃、「それが例え飲み会であっても、先約を大事にすること。でないと信頼を無くす」と先輩から教わったことがあります。

 ただ、そうわかっていても、ビジネスには、自分がいないとどうしようもない会議や、避けられない出張が入るときがありますよね。

 今日はそんな時に送る、リスケジュールメールのポイントを2つお伝えします。

「お詫び」というスタンス

 まず、一つめであり、最重要なポイント。
 それは「お願い」ではなく「お詫び」というスタンスで書くことです。

 相手は、その時間をあなたのために確保しています。
 もしかしたら他からの依頼を断っているかもしれません。

 なので、最終的にはお願いするにしても、約束を守れないこと、あらたに調整する手間へのお詫びであることが、最初のスタンスです。

例)
 いつもお世話になっております。
 ※※会社の●●でございます。
 本日は◯◯様に、お詫びがありご連絡いたしました。

 と、最初にお詫びを持ってくることで、「本来あってはならないこと」というあなたの思いが、相手に伝わります。

「真摯な理由」とは?

 二つめは、リスケジュ―ルの理由です。
 信頼を無くす「理由」のトップ2は、

「急用のため」
「やむを得ない事情により」

 この二つは、「あなたよりも大事な用事が入りました」と言っているのと同じです。
「やむを得ない」は、書く側の事情であって、受け取る側にしてみれば、関係のないもの。
 たとえ本当にそうであっても、言わないのがビジネスパーソンのたしなみというものです。

 かつて、こんなリスケジュ―ルメールをいただいたことがあります。

例)
 たいへん心苦しいのですが、私の不手際により、
 6月17日(火)11時に予定していたお打ち合わせの実施が
 難しくなってしまいました。
 お時間を空けていただいていたにもかかわらず、
 このようなことになりましたことに、心からお詫び申し上げます。

「不手際」という自責の理由、そして丁寧なお詫びが続き、なんと潔く、感じのいいメールだろうと思いました。

 後で、どうしても外せない依頼が入ったとしても、「その依頼を調整できなかったのは、私の不手際」というとらえ方、嘘ではありませんよね。
 その真摯な姿勢に、信頼できる人だという印象まで残りました。

 そのあとも、

 ご迷惑を最小限にとどめられればと思い、
 以下の候補をご提示いたします。
 勝手ながら、ご都合のよい日時を教えていただけませんでしょうか。

 と続き、読み終えるまで好印象が残りました。

メールで信頼をなくすな

 ビジネスにおいては、本来はあってはならないリスケジュ―リング。
 でも、どうしてもあなたの身に起きたときには、

・まずはお詫び
・理由は「自分の不手際」

 この2点を念頭に、メールを書いてくださいね。
 あなたの信頼が、損なわれることがないでしょう。

(本記事は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が書き下ろしたものです。)

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。著書に4万部を突破した『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)がある。