ソニー創業の井深大がOB
学者・研究者の卒業生も多数
神戸高校が生んだ学者や研究者について、見てみよう。
まず文化勲章の受章者。ソニーを創業した井深大は産業人として初めて受章しているが、英米法の法学者で東大教授、最高裁判事を歴任した伊藤正己に加え、日本中世史の研究者である脇田晴子も10年に受賞している。脇田が卒業したのは大阪府立北野高校だが、兵庫県立一女から転校した。
元聖路加国際病院の医師・日野原重明も文化勲章を受章しているが、日野原は旧制神戸一中に入学したものの数日で旧制関西学院中等部(現関西学院高等部)に転出しており、神戸高校ゆかりの人物とは言い難い。
「碩学」という表現がピタリの学者が、中国文学者の吉川幸次郎だ。若いころは中国語で会話し中国語で論文を書いた。中国の国文学者より中国の文学に通じていると、向こうの学者が舌を巻いたという。神戸高校の校歌も作詞した。京都大教授を務め,「京大中国文学」の中核を担った。文化功労者になっている。
京大総長をした法学者の滝川幸辰(ゆきとき)は、旧制神戸一中から旧制大阪府立北野中学(現北野高校)に転校した。自由主義的な刑法学説が文部省ににらまれ、京大教授をいったん退官したあと1933年の滝川事件の当事者となった。
さらに神戸一中・神戸高校卒の学者は、哲学者で翻訳家の河野与一、言語学者で古代ギリシャ文学研究の高津春繁、社会学者の本田喜代治、教育学者の新堀通也や上田薫、日本文化史の守屋毅、科学史学者の加茂儀一、英文学者の別宮貞徳らがいる。
日本古代史の直木孝次郎は大阪市立大、岡山大教授などを歴任した。弥生時代から奈良時代までにまたがって500編にわたる論文を発表した。1987年には、宮中歌会始の召人を務めた。2019年に100歳で死去した。
記号論の多木浩二、日本中世史の歴史学者で元京都橘大学長の田端泰子、曼陀羅(まんだら)研究の第一人者で元種智院大学長の仏教学者・頼富本宏、米国宗教史の森孝一、国際理解教育の大津和子らもOB・OGだ。







