シェアサイクルのサービスも10年がたち、現在は電動のシェアサイクルが普及している(筆者撮影)
いまやシェアサイクルのイメージが強い美団も、当初はクーポンサイトからスタートした。2010年頃には美団を含む数百もの企業が、先行するグルーポンに似たクーポンサイトを立ち上げ、補助金を投入して消費者にお得なクーポンを提供した。熾烈な競争の末に生き残ったのは、今は巨大企業となった美団と数社だけで、その他は屍となった。
シェアサイクルの美団はフードデリバリーの企業でもある。デリバリーの美団の配送者(筆者撮影)
EV市場の大淘汰と生き残った強者
今、中国のEV企業が続々と潰れていると日本で報じられている。筆者の元にも「中国が危ないんじゃないか」との親切心から、そうした情報が届く。
確かに中国では、補助金などの政府の後押しによるEVブームで、多数のブランドが立ち上がった。前述した他業界と同様に、EV市場でも過去10年間にわたり、数百とも言われる中国EVブランドが生き残りをかけて、資金を溶かすような製品力向上&価格値下げ競争を繰り広げた。その結果、2022年から2024年の間だけでも70%のブランドが市場から淘汰されるという結果になった。消滅したブランドのEVオーナーはアフターサービスもなくなり、バッテリー交換もままならず、買い取ってももらえずと踏んだり蹴ったりである。
しかし中国のEV産業はそれで終わるわけではない。BYDを筆頭に、理想汽車(Li Auto)、蔚来(NIO)、小鵬(XPENG)が生き残り、そこにさらにスマートフォンで知られるシャオミも参戦し、強力な製品力と納得の価格で消費者を唸らせている。また多くの企業が競争したことで市場が拡大し、中国の大都市部ではEVは当たり前に走行するようになった。多くの中国EV企業が淘汰されたからといって、やがて全てのブランドが終わる、中国のEVが終わる、というわけではない。むしろこれからが脅威なのである。







