
【ワシントン】トランプ米政権は、アルゼンチンの複数の当局者に対し、中国の影響力を制限するよう圧力をかけている。米政府や米金融機関は、アルゼンチン向けに400億ドル(約6兆0660億円)規模の支援を準備している。
スコット・ベッセント米財務長官はアルゼンチンのルイス・カプト経済相と会談し、重要鉱物を含む同国の資源への中国のアクセスを抑制することについて協議。事情に詳しい複数の関係者によれば、両氏はアルゼンチンのウラン供給に対する米国のアクセス拡大についても話し合った。
米政府はアルゼンチン国内のインフラプロジェクトや通信などの主要分野への投資を活性化する手段として、アルゼンチン政府に米国企業との取引を促すことで中国の影響力に対抗しようとしているという。
中国はアルゼンチンにとってブラジルに次ぐ第2位の貿易相手国であり、農作物に関しては最大の買い手となっている。
米財務省の報道官は、「アルゼンチンを安定化させることは、『アメリカ・ファースト(米国第一)』でもある」とし、「強固で安定したアルゼンチンは、西半球の安定した繁栄に寄与し、これは明らかに米国の戦略的利益にもかなっている」と述べた。
アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領の報道官からは、今のところコメントは得られていない。
アルゼンチンは、米国から支援を求める姿勢を強めている。自由至上主義(リバタリアン)を掲げるミレイ政権は、野心的な経済改革を掲げながらも重大な障害に直面し、暴走するインフレへの対応を迫られている。政府は支出を削減し、財政赤字縮小のため不人気な措置を講じたものの、来年の債務返済の増加と政府の資金枯渇などといった問題を抱える。
さらに26日に中間選挙を控える中、アルゼンチン国民は経済が混乱することへのヘッジとして安全な米ドルに殺到し、政府の外貨準備も減少している。
ミレイ氏はドナルド・トランプ大統領と緊密な関係を築いており、トランプ氏はミレイ氏が率いる政党の地位向上を支えてきた。その中でアルゼンチン政府はミレイ氏の政党が9月の地方選挙で敗北した後、米国との協議を開始。選挙での敗北を受けて通貨ペソは急落し、市場を重視するミレイ氏の改革に対する支持の弱体化も見られる。