相手を変えることはできなくても、自分の日頃の接し方、考え方が変わることで、相手がこちらに向ける面も変わってくるわけです。

 人に期待するより、「あの人にお願いしたい」「あんな人と仕事をしたい」と選ばれる自分になることが先決。「肩書がなくても選ばれる人」の人間関係について考えていきましょう。

あまり気を使わなくても
人間関係はこじれない

 人間の悩みで圧倒的に多いのが、“人間関係”。

 職場でも「上司や同僚に苦手な人がいる」「過剰に気を使う」「気軽に話せる人がいない」「否定的なことを言われる」「パワハラやいじめがある」など、一日中、イライラ、クヨクヨしたり、不安になったりすることも、よくある話です。

 仕事において人間関係は、重要なファクター。ですが、むずかしく考えてはいけません。まわりに気を使いすぎるほど、仕事よりも人間関係が優先されてしまう。

 意見を言いたいのに摩擦を恐れて言えなかったり、相手の顔色を窺って報連相や根回しで疲れたりして、ほとほと嫌になってきます。

 とくに組織内での上下関係、権力構造があると、うわべだけで愛想良くしたり、嫌なことにも従ったりしがちなので、心がすり減ってくるわけです。

 肩書がなくても選ばれる人たちは、人間関係をさほど気にせず、だれとでも正直でフラットなつき合いをします。「いい仕事をする」という目的から目を離さず、自分の意見を言うし、かといって出しゃばることもありません。

 気を使いすぎず、ざっくばらんにつき合えるので、一緒にいて心地いいのです。

 私もギスギスした職場で働いていたころは、人間関係に消耗した挙句、自分を出さないことが生き残る処世術だと思うようになっていました。波風を立てずに、まわりの流れに従うほうがラクだし、叩かれることもありませんから。

 しかし、人も仕事も速いスピードで移り変わる時代は、組織のなかでもそのままの自分を受け入れてもらうことが、生き残る処世術になっていくはずです。「右に同じ」という人は、いくらでも取り替えがきく。個性的な価値を提供しようとする人だけが、どこに行ってもオファーがくるのです。

 こちらが相手に対して悪意をもたなければ、人間関係はさほど拗れません。