自分を大切にすることが
良好な人間関係につながる

 デンマークを訪ねたとき、現地の友人が「デンマークでは、人間関係に悩むことがあまりない」「デンマークほど個人の才能を伸ばしてくれる国はないと思う」と言ったことがありました。

「人間関係に悩まない」というのは、衝撃。人づき合いに神経を使わないぶん、自分の仕事にフォーカスして、スキルや知識を高めていけるというのにも納得。

 子どものころから「自分は人生でなにをするか」を考えていて、仕事は単にお金を稼ぐためではなく、好奇心や信念を追求して、自己実現をしていくものであり、その人のアイデンティティそのもの。自分の目的を大事にして、それを実現してくれる組織を見つけていくので、他人がどうかはあまり気にしていないのだとか。

 ほかにも「悩まない人間関係」になる理由としては…

「自分の役割をハッキリさせているので、基本的に報連相はしない」
「問題が起こったら、人を責めずに、一緒に解決策を考える」

 などがあります。上司は仕事を部下に任せたら、終わるまでいちいち確認しないといいます。

「部下がミスしたら、だれが責任をとるの?」と聞くと、「もちろん、上司。それが上司の仕事だから。部下は役割をハッキリさせれば真剣に取り組む。それでもミスが起きるのは仕方がない」という答え。

 また、相手がミスしたとわかったとき、相手の真正面に立って「なんでできないの?」と責めるのではなく、相手のとなりに立って同じものを見て「どうしてそうしたの?」「どうしたらできるんだろう」と一緒に解決策を考えるというのも、目から鱗。

 相手は攻撃すべき“敵”ではなく、一緒に協力する“仲間”というスタンス。

 ほとんどの人が午後4時に帰宅して、家族や友人との時間、趣味の時間を大切にすることも、職場の人間関係で悩まない理由のひとつでしょう。

「自分はなにをして、どう生きたいのか」をわかっていることが、人間関係の本質的な解決になります。それぞれの道を歩くには、互いに協力し合うことが必要。

 自分を大切にしようとする人は、他人も尊重して大切にしようとするのです。