軽自動車は都心だと営業車としてよく使われますが、日常使いで売れるのは圧倒的に地方の市場です。それも家にはもう一台、SUVなど大きめの車があって、奥様やお子さんが乗るための2台目の車が軽自動車になるケースが多いのです。

 それで使い方としても日常の近場の移動が中心で、そんなに長い距離を乗りません。主に使うのが車にそれほど詳しくない家族だということで、取り扱いも簡単なほうがいい。2台目だから安いほうがいい。すべての条件にあてはまる軽自動車が地方では売れているのです。

 そしてBYDですが、来年の秋には軽自動車を発売します。これが唯一、イオンの店頭で売れる可能性のある自動車と条件が合致します。

 実はEVは地方の軽自動車市場と相性がいいのです。走る距離が短いので購入の際に航続距離を気にする必要がありません。9月の販売台数で軽EVトップのホンダのN-ONE e:が295kmと比較的長い距離を売り物にしていますが、日産のサクラは180kmでもきちんと売れていて2位につけています。

 地方の日常使いだと一日に軽自動車で走る距離はせいぜい50km。それで家は戸建てでガレージにはコンセントがあるとします。私の自宅のガレージには200Vのコンセントがあって、ドルフィンは5時間で100km分は充電できます。地方の戸建ての場合でたとえ100Vのコンセントしかなかったとしても、翌朝起きたら軽自動車は満充電の状態に戻っているでしょう。

 サクラが売れている1つの理由は、地方にはガソリンスタンドの減少に悩んでいる地域があることです。ガソリンスタンドに行くだけのためにいつもよりも遠くまで走らなければいけないような地域では、毎日自宅で充電できる軽EVは現実的な解決策として重宝され始めています。

 そのBYDの軽自動車は10月30日から始まるジャパンモビリティショーでお披露目される予定です。そして市場投入は2026年後半だとされています。今のBYD車はテスラと違い100Vのコンセントに対応していないのですが、もし来年の発売前にその軽EVが100V対応してきたら地方市場では即戦力になる可能性が出てきます。