すると、思いもよらない結果が浮かび上がってきました。
「泣ける」と評価された動画の多くが、感情の「快─不快」軸で見ると、「快」のエリアに分布していたのです。
『泣ける消費 人はモノではなく「感情」を買っている』(石津智大、サンマーク出版)
これは、わたし自身にとっても驚きでした。
「泣ける」という体験は、「つらいこと」ではなく、「快い体験」だったのだと、はじめて腑に落ちたのです。
泣けるコンテンツを観たとき、わたしたちは口では「悲しい」と言うかもしれません。
けれど、その実感の中身を丁寧に見ていくと、それは単なる悲しみではなく、「心が揺さぶられた」「何かが動いた」と感じられることそのものが、むしろ快として体験されていることがわかります。
つまり、わたしたちが泣ける作品に惹かれるのは、感情が動くというプロセスそのものに快を感じているからなのです。







