バナナ売り場なのになぜ…隣に置いたら大人気になった「意外な商品」とは?お祭りがなくなったコロナ下で、子どもと一緒にお祭り気分を味わえる、という「価値」で人気になった食べ物とは?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

あなたは今日のランチ、何を食べましたか? あなたが選んだお店、お弁当、カップラーメン…そこでは、「あなたの昼食需要」を巡るマーケティングのバトルが起きています。マーケティングの目的を達成するのに最低限必要なのは、「ベネフィット」「ターゲティング」「差別化」「4P」という4つの理論だけ。佐藤義典さんの著書『ドリルを売るには穴を売れ』(青春出版社)から、マーケティングの基本理論であり、最重要理論でもある「ベネフィット」について解説します。

顧客にとっての「価値」から考える

 マーケティングにおけるベネフィットとは、「顧客にとっての価値」です。カタカナの用語を使うのはなるべく避けたいところですが、よく使われる言葉なので覚えておきましょう。「価値」というと少々固い感じがしますが、平たく表現すると、お客様の「うれしさ」となります。お客様があなたの商品・サービスを使って、どううれしくなるのか、ということです。

 たとえば、あなたの仕事が工具のドリルを売ることだとします。あなたにとっての売り物はドリルですが、顧客にとっては、ドリル自体ではなくドリルが開ける「穴」に価値があるのです。つまり、この「穴」がベネフィットということになります。お客様は穴を開けられてうれしい、ということですね。

 顧客は「ドリル」を買っているわけではなく、「穴を開ける道具」を買っているのであり、あなたはドリルではなく「穴を開ける道具」を売っているのです。これは、買い手にとっては当たり前のことですが、ほとんどの人は売り手になった瞬間に忘れてしまいます。