「配偶者・パートナー」が「推し友」に肉迫した比率で、「子や孫」「旧友」よりも多いという結果は意外でした。なお、こちらの結果も全体と60代の傾向は変わりません。

「推し友」がいる喜び
夫婦円満の一助にも

 自由記述を読むと、「夫が一緒にライブに来てくれた」「夫と韓国ドラマに沼落ち」など、夫を巻き込んで推し活をする行動が見られました。「推し活」が夫婦円満の一助となるとは驚きです。「体験の分かち合い(ファンダム)が生まれている」ということが、推し活市場の新たな兆しではないでしょうか。

『消費の主役は60代 シニア市場最前線』『消費の主役は60代 シニア市場最前線』(梅津順江、同文舘出版)

 前述したように、この世代は2022年頃から推し活をきっかけに、「SNS・動画配信視聴」、「チケット購入」のためにデジタル知識を会得してきました。2024年は、推しに影響されて「語学」、「着付け」など新たな習い事に挑戦したり、推しトレーナーに促されて「筋トレ」「ヨガ」を開始したり、再開したりもしています。

 推し活を続けることで、推しへの愛と意識が深まり、自身や周囲の行動が広がり、共有する仲間もでき、幸せ感が増えていくようです。広さと深さを両立させた結果、さらなる「2次的な派生行動が増殖する」というメカニズム。推し活の浸透に伴って「体験の分かち合い(ファンダム)と2次的な派生行動の増大」が生じていると言えそうです。