DJポリスの使った技術は、
サービス向上にも使える
「わずらわしさ」を逆転、「サービス」に変えたコトバがあります。
私が香港に出張に行ったときのこと。その便は満席でした。飛行機が空港へ到着し、ビジネスで来ている人たちが大半で、あわただしい雰囲気。そこでアナウンスはかかりました。
「後方のお客さま、お時間がかかってしまうので、ごゆっくり、お支度ください」
このアナウンス、見事だなあと思いました。
飛行機から降りるのは結構わずらわしいですよね。前の人が荷物をおろすのをいちいち待たないといけないし、狭い通路を進んでは止まり進んでは止まりで、決して快適なものではありません。ああ、今回もそうかとうんざりしていたとき、それを
「ごゆっくり、お支度ください」
と伝えたことで、せわしなくなりがちなビジネスマンたちに、爽やかな風が吹いたように感じられました。これまでのアナウンスはこうでした。
「後方のお客さま、前のお客さまが出られるまで、お席でお待ちください」
つまり、ストレートなお願いだったのです。飛行機が着いたら一刻もはやく降りたいのが人情。それを「お待ちください」と言われると、どうしようもないですが、なんだかサービスが悪い印象になります。
一方で、
「ごゆっくり、お支度ください」
と言われると、気を使ってもらってサービスをうけた感じになります。相手のメリットになります。どちらにしても同じ、「時間がかかるのを我慢してください」というお願いなのに。
いつもなら、すぐに立って荷物を取り出すところを、私はゆっくり忘れ物がないかを確認しました。思えばいつも、飛行機を降りてから忘れ物したんじゃないかと不安になったりしたものです。曲がった襟を正したりしているうちに通路が流れはじめました。
次回は、DJポリスのつづき、相手が「面倒くさいと思っている」「やる必要性がそこまで見つからない」ときに効果を発揮する、「イエス」に変える技術の切り口「チームワーク化」です。
(次回は6月21日更新予定です。)
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