毎月5万円の生活費を
送金していたのに
兄の和彦さんは真理子さんと結婚後、両親の所有する家で同居。父が亡くなった際に、家は兄が相続しました。母は亡くなる5年前から体調を崩し、要介護3の認定に。兄嫁の真理子さんは日中スーパーでパートタイマ―として働き、帰宅後は介護の多くを担う日々でした。
「仕事のあとでお風呂に入れて、夜中にトイレの介助もしました。お義母さんのために一生懸命尽くしました。和彦さんは介護のほとんどを私に任せていました」
一方、同居していない弟の隆司さんは、母の介護に貢献できないことを兄にわび、毎月5万円の生活費を母の口座に送金していました。隆司さんは兄の和彦さんに「このお金で真理子さんの負担を減らしてほしい」と伝えていたそうです。兄弟仲は母の介護中も良好で、たまに2人で飲みに行くことも。
当時母は週に2回程度デイサービスを利用しており、隆司さんが送金していた母名義の口座から支払っていました。母の葬儀後、四十九日を前に行われた遺産分割の話し合いでは、隆司さんは母の遺産の8割は兄へ、介護に貢献はできなかったものの、5年間にわたって毎月5万円を送金していた自分は2割を受け取りたいと主張しました。
「おむつ交換もお風呂の世話も
全部私が一人でやっていました」
この時、隆司さんは兄と兄嫁に「長年母の介護をありがとう」と丁寧にお礼も伝えたそうです。しかし、兄嫁の真理子さんは「介護をしたのは私だけでしたから、遺産は全額和彦さんのものです」と主張。兄は黙ってうつむいており、遺産分割協議は相続人である兄ではなく兄嫁の真理子さんと交渉する事態になってしまいました。
隆司さんは「真理子さんにはとても感謝しているけど、父の相続の時には家を譲り、母の介護の時には5年間で300万円のお金を渡したので、せめて気持ち程度はもらえるものと……」と述べました。
すると真理子さんは沈黙のあと、「おむつ交換もお風呂の世話も全部私が一人でやっていました。そんなにお金が欲しいんですか!」とさらに怒ってしまったのです。







