この大学の“OS(オペレーティングシステム)アップデート”とも言える大変革に伴い、新しいタイプの人材が必要不可欠となりました。

 それが、企業や行政などで豊富な実務経験を持つ「実務家教員」です。

 文部科学省の調査でも、大学が新たに採用する教員の2~3割が、あなたのようなビジネス経験者で占められるようになっています。これは、もはや一過性のトレンドではありません。社会、企業、大学という、日本の未来を形作るすべてのプレイヤーが、同じ方向を向き始めた結果なのです。

 なぜ、これほどまでに実務家教員へのニーズが高まっているのか。その背景では、いくつかの要因が複雑に絡み合い、強力な相乗効果を生んでいます。

(1)社会と大学の“接続”が求められている

 大学は今、教室での講義だけでは応えられない新たな課題に直面しています。起業家教育地域ブランディング、リカレント教育(学び直し)……。これらはすべて、学問の世界とビジネスの現場を“接続”できる人材がいなければ成り立ちません。社会人経験を深く理解し、その学びをデザインできる実務家教員は、まさに時代の要請なのです。

(2)企業の“切実な本音”

 かつて企業は「入社後に教える」というスタンスでしたが、今は人材育成の余力も時間もありません。企業が学生に求めるのは、プロジェクトマネジメントや交渉力といった、すぐに現場で活かせる「実践的なスキル」です。この企業の切実なニーズに応えられるのは、ビジネスの修羅場をくぐり抜けてきたあなた自身なのです。

(3)学生の“リアルな渇望”

 少子化により、大学は学生から選ばれるための魅力を必死に模索しています。今の学生が聞きたいのは、教科書の上の綺麗な理論だけではありません。あなたの生々しい失敗談であり、困難を乗り越えた課題解決のプロセスです。そのリアルな言葉が、学生にとっては何よりの学びとなり、大学の強力なアピールポイントとなります。