地方は、あなたの経験が輝く「フロンティア」である

 そして、これらのニーズが最も凝縮され、あなたの経験が最大限に活かされる舞台が、「地方」です。「地方は人材が不足している」という見方もありますが、それは一面的な捉え方にすぎません。

 私は、地方を「未知の可能性に満ちたフロンティア」だと考えています。

 都市部では、あなたの経験やスキルは数多(あまた)あるうちの一つかもしれません。しかし、多様なプロフェッショナルがまだ少ない地方において、「大学教授」という信頼性の高い肩書きを持つあなたの存在は、まさに地域に化学反応を起こす“触媒”となり得るのです。

 あなたのビジネス経験は、地域経済を動かす「カタリスト(触媒)」として、あるいは産官学をつなぐ「プロデューサー」として、渇望されています。地域活性化の委員会、新しい観光プロジェクトの立案、高校生への起業家教育……。一つの専門分野に留まらず、あなたの経験のすべてを総動員して、地域全体をキャンパスとしたダイナミックな挑戦が待っています。

 これらすべての要因が、今、あなたという存在を強く求めています。この歴史的な転換点で、あなたは傍観者でいますか? それとも、未来を創る当事者になりますか?

 大学教授というキャリアは、そのための最高のパスポートなのです。

明治の「ばけばけ」から、令和の「転身」へ

『ばけばけ』の中で描かれる小泉八雲の姿は、異なる世界を恐れずに受け入れ、自らの知を次の社会に活かした人間像です。その精神は、現代を生きる私たちにも通じます。

 時代の変化は止められません。しかし、自らの経験を新しいかたちで社会に還元する“転身”を選ぶことで、あなたは新しい時代の知の担い手になれるのです。転身とは、これまで積み上げた人生を手放すことではなく、そのなかに眠っていた“本当の自分”を呼び覚ますことです。

 大学という舞台は、知を一方的に教える場所ではなく、社会とともに未来をつくる協創の現場です。そこに立つあなたの姿が、次の世代にとっての「新しい八雲」になるのかもしれません。