ところが、第1次政権時にトランプを熱烈に応援する活動が認められて側近になりました。トランプに敵対すると見なした人物を激しく攻撃する言論が特徴で、この4月にはホワイトハウスでトランプと会談し、彼女が敵と見なしたNSC(編集部注/アメリカ国家安全保障会議)や情報機関の高官をトランプが即座に解任したこともありました。

 ルーマーの主張にはほぼ根拠はないのですが、トランプ本人が彼女を「敵を見つけ出す稀有な能力の持ち主」と認めていて、何かと彼女を傍らに近づけてきたという経緯があります。

トランプが触れる情報は
個人秘書が取捨選択する

黒井:また、トランプは元ワン・アメリカ・ニュースのキャスターでトランプを褒めまくっていた33歳のナタリー・ハープを現在、自分の個人的な秘書役にしています。彼女は公式のスタッフではないのですが、大統領執務室のすぐ前にデスクを与えられ、常にトランプとともにいます。外出の際もほぼつき従っています。

 トランプはスタッフからの報告書をあまり見ないのですが、ニュースはほとんど傍らに控えるハープがネットから拾ったネタを携帯式プリンターで印刷し、トランプに渡しています。つまり、トランプが日常的に目にする情報を、取捨選択しているのが彼女なのです。

 そこで大問題なのは、それらの情報がトランプが喜びそうな情報に偏っていることで、しばしばそれは極右のフェイク情報であり、陰謀論でもあると言われています。トランプはよく陰謀論的な声明を発するのですが、そのいちばんの情報源が彼女です。

 ときには会議中にプリントを手渡して、トランプを誘導するような場面もあるようです。ホワイトハウスの広報部門を通さず、勝手に極右系メディアの取材を入れることもあります。そんな環境で適切な判断は無理です。

小泉:神輿の担ぎ手問題ですね。トランプ個人の資質は別として、担ぎ手にあまりに問題が多い。そして問題の多い担ぎ手であるほど、トランプの神輿としての価値が上がってしまうという構造があるのでしょう。

黒井:ホワイトハウスがこんな風景なので、トランプの耳に陰謀論がどんどん入っているのでしょう。これは大問題ですよね。