たとえば今の第2次政権でFBI長官に抜擢されたカシュ・パテルは、第1次政権時にトランプ派の下院情報特別委員会委員長の補佐官としてトランプのロシア・ゲート疑惑隠しに奔走した功績で、NSCテロ対策責任者に抜擢され、国際情勢では素人同然なのにトランプに直接、ウクライナ情勢や中東情勢のレクをしていました。トランプは米情報機関の報告書を読むより、子分の話を聞くことを好むのです。
第2次政権でもそれは同様で、たとえばもともとブライトバート・ニュースでイスラム差別を煽動する極右論客だったセバスチャン・ゴルカをNSCテロ対策責任者に任命し、とにかく中東情勢をすべてイスラム差別の視点だけで語る、あまりにも雑な報告を聞いています。
『国際情勢を読み解く技術』(小泉 悠、黒井文太郎、宝島社)
そもそもトランプ陣営は2020年選挙で「投票計数機が操作された」「選挙が盗まれた」「トランプは悪の勢力=ディープステートと戦う真の戦士だ」などのトンデモ陰謀論に群がった側近を中心に構成されており、陰謀論者の巣窟になっています。
そんな人々が超大国・米国の全権力を握り、ネット上で拡散される陰謀論を情報源として、政策を決めています。
そして最も警戒すべきは、そんなネット上の陰謀論の情報環境、つまり陰謀論エコーチェンバーでは、ロシア工作機関の情報操作が入っていることです。米国の政権がロシアの誘導工作の影響下に入ってしまっているわけですね。
米国は腐っても米国であって、国際的な安全保障環境への影響力が突出した超大国ですが、今後も非常事態が続くことになります。







