「ようやりました」北川景子のセリフに聞き覚えあり!2年前の大河で演じた「戦国のラスボス」との共通点〈ばけばけ第34回〉

「ダキタクナイ」→「抱きたいでしょ」

 フミ(池脇千鶴)が新聞記事でヘブン(トミー・バストウ)が花田旅館から引っ越ししていることを知った松野家一同。今度は3人でトキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)のあとを尾行する。

 トキは今日も花田旅館に入るが、フミはだまされない。

 裏庭からトキがヘブンの家に向かおうとすると、司之介(岡部たかし)が旅館に入り、フミと勘右衛門(小日向文世)はトキを追って、ヘブンの家を突き止めた。

 そこへウメ(野内まる)がやって来て、フミは彼女から給金事情を聞き、トキがとんでもないことをしていると察してしまう。

 ヘブンの台所に立ったトキに迫る3人。

 観念したトキは「洋妾だが」と白状する。

 ぼうぜんとする3人に「けどしかたないけん。こげなことでもせんと暮していけん」と言い訳するが、「お金より大事なものがあるがね」とフミの顔は強張っている。

 勘右衛門はヘブンに木刀を構える。

「命より大事な娘を」と司之介も珍しく本気だ。

 そこで、洋妾になったこともだが、20円という大金であることが判明し、フミたちは驚く。

 トキは一部をタエたちに渡していることを、フミたちに秘密にしているからだ。ごまかしたお金をどうしているのか気になるのは当然。

 20円もの大金ということはよほどの重労働に違いないと想像してしまいそうだが、「まだ指1本触れられちょらん」とトキは弁解する。

 言葉も事情もわからず蚊帳の外のヘブン。なぜこんなにもめているのか、錦織(吉沢亮)に聞くと、トキを洋妾にしたと思われているとわかり、今度はヘブンが怒り出す。

「冗談じゃない。ふざけるな。私を馬鹿にして。そんな男だと思っていたのか」

 で、ここからがおなじみ『ばけばけ』劇場。『ばけばけ』らしいおもしろいところだ。

 トキは妾(めかけ)や洋妾ではなく、ただの女中だとヘブンは言う。

「妾なんか雇うか」

 そして、「ダキタクナイ」と辞書を引いて日本語で全力で否定する。

 トキ「それはそれで失礼だけん」
 フミ「抱きたいでしょ」
 司之介「そげじゃろ」

 彼らの発言を肯定も否定もできない。苦笑いだけが残る、とても絶妙な脚本である。