『起業家』がベストセラーとなっているサイバーエージェント社長藤田晋氏と『伝え方が9割』佐々木圭一氏の対談の後半です。「伝え方も多角化、複雑化している。経営者はスピーチが苦手でも他の方法に頼れるようになった。例えば、ブログに書けばいい」と藤田さん。言葉とその技術について、語り合ってもらいました。(取材・構成/上阪徹 撮影/小原孝博)
技術者は、わざわざややこしく言っている
渋谷ではたらく社長のアメブロ
http://ameblo.jp/shibuya/
藤田 さすが伝え方の本だけあって、『伝え方が9割』というのは、タイトルがうまいなぁと思いました。僕も『起業家』のランキングを気にして見ていたときに、いつも順位のそばにあって気になっていたんですよね。
佐々木 ありがとうございます。ブログにも書いていただいて、感動しました。
藤田 特に技術者は、伝え方のようなものを軽視している印象が僕にはあったんです。むしろ、わざわざややこしく言っている気がしていて。本を読んでみて、これはちょっとでも伝え方を意識すれば、まったく変わると改めて思ったんですよね。だいぶ損をしている技術者がいるな、と。
佐々木 そうなんですよね。大学時代、僕も理系で論文を書いていたりしましたが、どれだけ難しいそうに書くかがポイントだったりしましたよね(笑)。
藤田 インテリ層も伝え方には弱いですよね。ブログを書いてもらうと、すごくわかりやすいです。太字や文字の大きさなどを、いろいろ駆使してわかりやすく伝えようとする人と、ダァーっとテキストを流し込むだけで「そんなの見る人がちゃんと読めばいい」とばかりに書いちゃう人がいますよね。受け手に対する配慮というか、デリカシーがまるで違う。
佐々木 ネットが出てくるまでは、それでも良かったと思うんです。でも、今はダァーと流し込まれただけのテキストは読みたくないし、難しい言葉が並んでいたら途中で読むのをやめてしまいますよね。他にも、わかりやすくて楽しい情報は山のようにあるわけですから。
もしかしたら、伝え方講座のようなものを作って、技術者の人は受けてみるといいんじゃないでしょうか。
藤田 ぜひ作ってください。実際、ネットでは便利がものが作られているんですが、実はほとんど埋もれているんです。フェイスブックとか、食べログとか、当たったものばかりが取りざたされますけど、いいものは他にもたくさんあるんです。それが、伝わらずに埋もれている。その意味では、埋もれない伝え方の技術を持てたとするなら、かなり価値が高くなると思います。