「OK」ボタンも「冒険に出る」としたほうがクリックしやすい

佐々木 いろいろな場で「技術」という言葉を藤田さんは使われていますが、これは単なるデジタル上の技術だけではない、という印象を持っています。どういうふうに伝えるか、ということも含めて技術だ、と。

藤田 一般の人たちの理解は、おそらくユーザーインタビューでも、レイアウトとか画面遷移のわかりやすいさとか、そういうものを技術と言うだろう、ということで「技術」と言っていますが、正確に言うと「技術」というよりは「コミュニケーション」ですよね。
でも、一般的な理解では、そこはコミュニケーションだと思われていない。

佐々木 そうかもしれないですね。だから、たまに「技術」が「コミュニケーション」になっているのを見ると驚くし、感動します。単にデジタルなものが、わかりやすく「こう行きなさい」となっていたりして。

藤田 サイバーエージェントの社員を見ていても、やっぱりチュートリアルという最初の説明のところで、みんな一生懸命に説明しようとするんです。でも、いざユーザーになったら、それは見ないでしょう、といつも言っているんです。言葉で解決させようとすることが過剰になりがちで、どうしても説明が並んでしまう。
 ひとつの技術は、最小限にする、ということですよね。言葉を最小限にして、理解してもらう。その努力が、日本ではアメリカに比べて足りない、ということですね。

佐々木 人は、言葉と絵を比較的別にして考えるところがあります。でも、やっぱり同じ場所で考えたほうがいい。画面遷移についても、「こういう画面だったら、言葉は何もなくてもいいよね」とか「ここはきちんと伝えないといけないけど、文章の量をなるべく少なくしよう」とか「ここはひとつの文章よりも、二つの文章のほうが伝わるね」とか、多面的に考える必要がありますよね。

藤田 同じ画面遷移でも、「OK」のボタンの意味が、「はい、わかりました」というものと「冒険に行きましょう」というものがあるわけです。同じOKでも、押す側のテンションはまるで違う。そういう細かなところを、認識しないといけないですよね。

佐々木 なるほど、それはわかりやすいですね。

藤田 同じボタンを押しているだけなのに、なぜか先に進みたくなるとか。

佐々木 ダウンロードも面倒くさいし、初めの説明文を読むのも面倒くさいから、なるべく早くサービスを見せてよ、とみんな思っていますからね。

藤田 だから、やっているうちに理解する、というのが、やっぱり一番レベルが高いと思うんです。何も読んでいないのに、伝わってしまう。何も書いていないのに、できてしまう。

佐々木 今はとりわけ、そういうこともできる時代になってきている。伝え方は、どんどん学んで、もっともっと進化させていかないといけないですね。
 


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第7回 「相手のことを想像して伝える」それが、この本に書いてあるすべて【姜尚中×佐々木圭一】(前編)

第8回「心」という小説を書くことで、亡くなった息子に近づきたかった【姜尚中×佐々木圭一】(後編)

第9回 なぜDJポリスの伝え方が、群集を動かしたのか?そこに使われていた「伝え方のレシピ」。

第10回 DJポリスが伝え方で使った「チームワーク化」。これを使えば動かない人も動く。

第11回 実は隠れコンセプトは「相手のことを想像する技術」【元スターバックスコーヒージャパンCEO・岩田松雄×コピーライター・佐々木圭一】(前編)

第12回 上司は、自分が上司にやっていることを部下にも同じように求める【元スターバックスコーヒージャパンCEO・岩田松雄×コピーライター・佐々木圭一】(後編) 

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