こうした批判に対して、鄭氏はその後、投稿の中に不適切な表現があったことを謝罪。当日、空港でサポートしてくれたスタッフへの感謝も表明した。しかし同時に、これまで中国本土の各空港で経験してきたことを再び投稿した。例えば、ある空港で義足に金属が入っているため、保安検査で何度も質問されたことや、杖を手荷物として預けるよう強要されたことなどである。鄭氏は「中国本土の空港は、障害者に対して配慮が足りない」と失望をにじませた。

一方、日本では……

 この騒動では、「障害者は外出を控えめにすべき」という声がある一方で、「問題の本質は、障害者の尊厳が守られていないことだ」との声もあった。SNSでさまざまな意見や見解が飛び交う中、日本での体験談や、見聞きしたこともたくさん紹介された。

 あるネットユーザーは日本旅行中に撮った動画を紹介し、そこで見た光景が「非常に感動的で忘れられない」と語った。

 地下鉄構内で、駅員二人が車いすの乗客一人に付き添い、電車が到着すると、可動スロープを敷いて車いすを車内に誘導し、車内にある車いす専用エリアに固定した後、スロープを畳んで、電車を見送っていた。また、その乗客が降りる駅では、駅員が電車の到着前にドアの前に待機し、下車の補助をする……という一連の流れである。

「駅員たちは手慣れた様子で、周りの乗客も特に変わった様子はなかった。おそらくこれは、日本では当たり前の情景なのだろう」とその人は説明した。このような動画は実は以前から中国のSNSで度々アップされており、コメント欄には決まって「感動した!これが真の文明社会だ」などと絶賛の声が並ぶことが多かった。

中国の福祉関係者が見た日本

 筆者は仕事柄、日中両国の福祉関係者をアテンドすることが多い。

 これまで来日した中国の障害者や高齢者事業の関係者たちは、「日本の街と公共施設で障害者をよく見かけることが印象に残る」と感想を述べることが多かった。さらに、視察や交流を経て、「街で障害者をよく見かける理由」を「ハードとソフトの両面が揃っている」と説明していた。