大きな要因は
歯周病菌が生み出す「排泄物」
大きな要因は「歯周病菌を持っている人」だ。
「歯周病菌が口の中でエサとなる成分(動物性タンパク質など)を取り込み、代謝する。その代謝物の中にメチルメルカプタンが多いといわれています。代謝とは、言ってみれば菌の排泄物(はいせつぶつ)のようなもの」
「歯周病になっていなくても、歯周病菌が口の中にいると、エサを食べて代謝物を生み出す。もちろん、歯周病が重症になればメチルメルカプタンも増え、口臭が強くなりやすいと考えられます」
これを聞いて「腸内細菌」と同じだと思った。腸内細菌のうち、いわゆる善玉菌は食物繊維やオリゴ糖をエサにして、短鎖脂肪酸という代謝物が作られ、全身の健康に貢献する。
磨きすぎの人も
歯周病のリスクがある
一方でタンパク質や脂肪を食べて腐敗させ、発がん物質や毒性物質を作る腸内細菌もいるのだ。腸内環境を整えるのと同じように口腔内を良い環境に保ちたいが、それには前回の記事で「磨きすぎは注意」と記したように、「正しい歯磨き」をすることだ。
亀山教授も「きちんと磨けていない人だけでなく、磨きすぎの人もリスクがある」という。
「歯周病は歯磨きが不十分な人だけでなく、反対に強く磨きすぎてしまったり、夜間に歯ぎしりをして強い力がかかったりすることでも炎症が起きて、歯周病が進みやすいのです」
年とともに歯茎が下がり
虫歯になりやすくなる
40代以上の日本人の半数が歯周病といわれるが、どうしても加齢とともに口腔内の環境が悪くなりやすいという。
「健康な人でも年とともに歯茎が下がり、汚れがつきやすい部分が増えてしまうのです。歯茎が下がることで歯の根っこ近くの象牙質が露出してしまうと、そこはますますむし歯にもなりやすい。また象牙質は酸によって歯が溶けやすいので注意が必要です」
最近、若い人でも歯がもろく弱くなっている人が増えているという。
原因は「酸蝕症」といわれる、口腔内で歯が溶けていく病だ。
「酸蝕症は細菌とは関係がありません。あくまで食生活などでの酸の影響で、歯がガラスのように薄く、折れやすい状態になってしまったり、歯がすり減って溶けたりしてしまうのが特徴です」







