健康酢やワイン、スポーツ飲料の酸で
歯がすり減って溶けてしまう
酸蝕症も、口臭に間接的に関係がある。
「以前、就寝前に複数の健康酢を飲んで、酸蝕症になった人がいました。検診の際、歯が真っ黄色になっているのを私が発見し、探針で触ってみると歯の表面のエナメル質がドロドロに溶けてしまっていたのです」
「そのように歯が溶けているところは汚れがつきやすいので歯周病菌の発生や、実際に歯周病のリスクも高まり、口臭にもつながってしまいます。健康酢やワインを愛飲する人、スポーツ飲料をよく飲む人は、飲用後は口を軽くすすいだり、水を飲んだりして中和したほうがいいでしょう」
疲労、緊張、空腹時は
誰でも口が臭いやすい
歯周病や酸蝕症以外に、誰でも口臭が発生しやすいのは、疲労時や緊張時、空腹時だ。唾液の分泌が減ると、健康な人でも口が臭いやすい。
亀山教授は「口の中の臭いが全くない人はいません」と述べつつ、「要は程度の問題だと思いますが、口の中がカラカラに乾燥してしまうと臭いが濃縮されてしまうのです」と指摘する。
唾液腺は自律神経の支配を受けている。自律神経には活動時に働く「交感神経」と、リラックス時に働く「副交感神経」があり、一日の中で交互に優位になる。唾液は「副交感神経」優位のときに分泌されやすいのだ。
スマホの長時間利用などで
唾液の分泌が減ると口が臭く
管理栄養士の望月理恵子氏が「スマホ口臭」という新たなカテゴリを紹介してくれた。
「スマートフォンを見る姿勢が唾液腺を圧迫し、唾液分泌量を低下させるのです。実際にスマホを長時間使用している人ほど口臭の自覚経験率が高いという調査結果もあります。長時間使用により人との会話が減少し、唾液が少なくなる影響があるかもしれません」
「ですから口の渇きが気になるときは、食事をするなどしてリラックスを心がけるといいでしょう。その後に歯を磨いたり、口の中をすすいだりすることで口臭はほとんど消失します。起床時も、夜間に唾液の分泌が減るため、細菌が口腔内で増殖しやすく臭いやすいですが、水で潤すだけでも変わると思います」







