フリースクールの月の利用料はおおむね3万円台ですが、不登校ビジネスの場合は、十数万円から数十万円と桁が違います。

 家庭教師や学習塾といった形態の場合は、月謝は安くても、最初に大量で高額な教材を購入させることが多いです(高額な教材を購入させれば、元は取れるので、月謝は安いことが多い)。継続的に数万円を支払わせ続けるというよりも、最初に数十万円を支払わせることが多いようです。

 冷静にこの記事を読んでいる方であれば、「そんなよくわからないものに数十万円払うなんて……」と思うかもしれません。しかし、子どもの不登校に悩んでいる保護者は、視野が狭くなっているため、力強い言葉をかけられると、「子どものためなら」と思って数十万円を支払ってしまいます。まるで、支払った額の大きさが、子どもへの愛情の証かのように、です。

断言や宣伝文句を使い
心を揺さぶる手法

 不登校ビジネスのもうひとつの特徴は、断言が多いということです。「○日間で学校復帰!」「学校に行かなくても、テスト○点UP!」などの宣伝文句を使います。問い合わせてきた保護者に対しても、「絶対~できます!」「必ず~します」のような強い表現を使って、相談事業や家庭教師などの利用を促します。

 なかには、「○○メソッドを用いて……」や「××大学の○○先生も推薦!」などの宣伝文句を使って、少しでも説得力を高めようとするところもあります。子どもに対して何をしてあげればよいか悩んでいる保護者にとっては、このような言葉は魅力的に映り、利用を考えてしまうのです。

 しかしこれまで説明してきているように、不登校の背景は子ども一人一人で異なりますし、支援の仕方も違います。

 そのため、心理や福祉の専門家は子ども本人や保護者と何度も話をし、子どもと関わり、学校など関係機関とも情報共有したうえで、「こういう子かな?」という見立てをして、「こういう支援がいいかな?」と考え支援をします。