やる気が出ないときは、「とにかくやってみる」ことが脳を活性化させる最善の方法です。「初動の4分間」を意識し、まずは簡単なタスクから始める。それだけで、脳は自然に仕事モードへと切り替わります。話題の動画「50歳でも記憶力はアップ!加齢に勝てる脳トレ法」を公開した池田義博氏は、日本記憶力選手権大会で6回優勝。試験・資格・英語・ビジネスなど、あらゆる場面で結果を出すためのメソッドを紹介します。
※本稿は、著書「世界記憶力グランドマスターが教える脳にまかせる勉強法の一部を抜粋しました。

やる気を出すには「とにかくやってみる」が一番

 どうしてもやる気が出ないときでも、自動的にやる気を起こさせる奥の手が存在します。

 脳の中のほぼ中心部にやる気を生みだす場所があります。この場所の神経細胞が活動するとやる気が生まれるのです。

 しかし、このやる気細胞は、そのままではなかなか反応してくれないため、何らかの方法で刺激してやる必要があるのです。

 そのための方法が、「とにかくやってみる」です。

 「なんだ、そんなことか!?」と拍子抜けされたかもしれませんが、これがこのやる気細胞を刺激する一番の方法なのです!

やる気を出したいなら、まず「やってみる」Photo:PIXTA

 皆さんもこんな経験はありませんか?

 学校の課題や仕事での資料作りなどをやらなければいけないのにやる気がでない。でも、締め切りがあるので、とにかくノートやパソコンに文章を書きはじめているうちに、気づいたらやる気になって集中していた……というようなことが。

 これがまさにやる気細胞が刺激された状態なのです。

「初動の4分間」にフル稼働する

 やる気細胞は、「手足を動かす」「脳を使う」といった、実際に体と頭を使う作業をすることによって刺激されます。すると、脳の中でドーパミンという神経伝達物質が発生して、それによってやる気が出てくるのです。

 この現象は心理学の世界でも認められています。

 しかし、始めてからどのくらい頑張れば波に乗れるのか、その目安を知りたいところです。

 これについては、アメリカの心理学者レナード・ズーニンが提唱した法則があります。

 それが「初動の4分間」です。

 物事を始めるときに、最初の4分間でうまく波に乗れると、その後を楽に進めることができるという法則です。物事に着手してからとにかく4分間は頑張って作業をし続けることが重要です。

まずは簡単なタスクから始めよう

 しかし、気をつけなければいけない点もあります。この初動の4分間ですが、うまく波に乗れればいいのですが、波に乗れない場合は、その後ムダな時間を過ごすことが多いと言われているのです。

 そうならないためには、ちょっとした工夫が必要です。

 要は、やる気細胞に刺激を与えればいいのです。

 それにはスタートの課題に深い思考が必要な難しいものを持ってこないことです。

 難しいものだとやる気細胞の活性化に必要な条件である、「体と頭の動き」が止まってしまいます。

 私の場合は、記憶競技の練習で気分が乗らないときのために「百ます計算」のプリントを用意してあります。ほどよい難易度と時間でできるので脳にとっていいウォーミングアップになります。学生の勉強であれば数学の計算問題でスタートするようなものでしょうか。

池田氏も脳のウォーミングアップで使う「百ます計算」Photo:PIXTA

 また、本の原稿を書くときなども、すぐに書き始めるのではなく、すでに書いた途中までの原稿を読み込んでから書き始めるようにしています。読んでいるうちに本のテーマを思い出し、スムーズに思考の流れに乗ることができるからです。

 このようにして、とにかく4分間体の動きを止めずに集中の波に乗るようにしています。