物価上昇や人件費の増加があった
値上げとコスト適正化は想定通り
10月30日に行われたオンライン説明会で野村優専務執行役員(CFO、写真)は「やるべきこととして計画に落とし込んだ施策はおおむね達成できた。物価上昇や人件費の増加があったものの、プライシングの適正化や法人向けビジネスの成長、オペレーティングコストの適正化は想定通り進んでいる」と述べ、通期での黒字化に自信を見せた。
セグメント別では、主力のエクスプレス事業の売上高が7557億600万円(2.5%増)、営業損失167億6700万円(前年同期は278億1800万円)。宅急便主力3商品(宅急便・宅急便コンパクト・EAZY)の取扱数量が前年比1.0%増の9億5400万個、ネコポス・クロネコゆうパケットが11.1%増の2億1696万個と拡大したことに加え、大口法顧客に対するプライシング適正化が進展したことで増収。
費用面は人件費を中心としたコスト増があったものの、輸送領域におけるオペレーションの適正化などコストコントロールに注力したことで損失額を大幅に縮小した。
CL事業は売上高795億3200万円(前年同期比2.04倍)、営業利益25億4900万円(2.4%増)。ナカノ商会の新規連結化で売上高が倍増した。
グローバル事業は売上高487億6100万円(18.7%増)、営業利益45億9100万円(1.6%増)。国際フォワーディング事業の拡販が奏功した。このほか、モビリティ事業も増収増益だった。
一丁目一番地は低採算顧客との交渉
単価を維持しながら数量を増加する
野村CFOは会見で、「一丁目一番地に位置付けた低採算顧客との交渉を進めた結果、プライシング適正化を進めることができた。宅急便単価を維持しながら数量を増加することができたことも大きかった」と振り返り、収益改善が想定通り進んだことを強調。下期についても「まだ利益改善の途中であり、下期以降に刈り取れるものが残っている。引き続き、ネットワークの強靭化に向けた人的投資やネットワーク投資を続けながら、オペレーティングコストの適正化などを続けていく」と述べた。
通期の業績見通しは、売上高1兆8800億円(前期比6.7%増)、営業利益400億円(2.81倍)、経常利益400億円(2.04倍)、当期純利益240億円(36.7%減)の増収増益基調を予想する。
現中計の数値目標を下方修正
営業利益は当初予定の半分以下に
また、同社は10月30日、27年3月期を最終年度とする3ヵ年中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030~1st Stage~」の内容をアップデートすると発表した。計画の基本方針は維持しつつ、最終年度の数値目標を引き下げた。
具体的には、2兆~2兆4000億円としていた最終年度の売上高目標を1兆9400億円に、1200~1600億円としていた営業利益についても600億円に修正した。
計画初年度となる25年3月期に、施策の一部で想定通りの効果が出なかったことから、計画と実績に差異が発生。今期(26年3月期)は改善効果が表れているものの、「現時点で見通せる施策の積み上げに基づき、数値計画を見直した」(ヤマトHD)としている。







