こうした第一印象や相性は、会社のように上下関係や利害が絡む場では効果は発揮しにくい傾向があります。しかし、同じスタートラインに立つ初対面の場面では、もっとも強く機能します。
元AKB48高橋みなみが語る“ダマ”とは
一方、私が担当していた女子大学の「リーダーシップ」の授業では、元AKB48のリーダー・高橋みなみさんの著書『リーダー論』(講談社AKB新書)を教科書にしていました。自分に近い存在のリーダーを題材にした方が、学生が主体的に考えるからです。
彼女はAKB48の小集団を“ダマ”と呼び、「女の子は小さな集団を作る生き物。でも何かを成し遂げる場では、“ダマ”は良くない」と述べています。リーダーの役割は、この“ダマ”をほぐし、一人一人が輝ける環境を整えることだといいます。
授業で学生たちに、“ダマ”の存在を尋ねると、ほぼ全員が即座に「ある」と答えました。前述のとおり、その“ダマ”は新入生ガイダンスの初日にはもう形成され、ほとんど変化しません。なぜグループを作るのかを学生に問うと、「一緒にいると安心」「情報交換ができる」という答えが多かったのです。
では、科学的には証明しにくいが確かに存在する第一印象や相性に、どのように向き合えばよいのでしょうか。
私は二つのポイントがあると考えています。
一つは、学校の入学時や会社の入社時、パーティーや異業種交流会など、初対面の人が集まる場では、人は無意識のうちに“ダマ”を作ろうとする生き物だと意識しておくことです。
はつらつとした笑顔の若者を見て「あいつは将来、大物になる」と言うことがあります。これは案外、的を射ているといえます。







