2025年秋は井戸端会議も政治でもちきり
先日、わが街のご意見番マダム、麗子さん(仮名)に駅前の並木道で呼び止められた。ご家庭の教育も生活レベルも社会意識も美意識も高く、私が先輩女性として尊敬する麗子さんなのだが、季節のあいさつもそこそこに「日本に初の女性首相誕生ね!」と言いだすものだから、さすが2025年秋は井戸端会議も政治談義だなと、心の中で苦笑した。
それから数日、メディアではASEANから始まった高市首相の初外遊成功が伝えられ、テレビも新聞もネットも日米、日韓、日中首脳会談それぞれのニュースでもちきりだった。
「写真も映像も、やっぱり高市さんが真ん中にいると華やいで明るいわよね。色々言う人もいるけど、あんな場に行って震えずに握手できるなんて、同じ女性として本当に尊敬するわ。高市さん、私より3つ上の64歳なのよ?女の人が体力を保ちながら毎日表舞台に出続けるって、仕事だけじゃなくて日々のものすごい努力と自己管理が必要だもの。すごいわ~、ずっと休めないでしょうに、どうやってこなしてるのかしら、秘訣を知りたいわね~」
そう語る麗子さんまでが、日頃より一層キラキラしている。そうなのだ、自民党総裁就任前にはさんざん批判されていた高市早苗氏だが(私もさんざん『ナイ』と言い続けていたのをここで潔く認める)、いざ彼女が真っ青なスーツ姿で自民党総裁の椅子に座った、あの鮮やかな笑顔の写真がメディアに出た瞬間から、特に女性の反応がガラッと変わった(私の見方も変わった)。
「玉木さんのやり方って、どうも昔から好きになれないのよね」
女性リーダーが増えて既成事実として景色が変わると、それを目にした人々の意識が視覚から刺激されて変わっていくだろうとは、長らく言われてきたことだ。それが本当に起こったと感じた。一般人から有名人まで、色々な女性が男性社会を必死に泳いできた自分たちの姿に重ね合わせるようにして、なんだかすっかり胸を打たれている。ニュートラルな立場、批判的立場を維持する人ももちろんいるが、日経平均株価史上初の5万円台という高騰ぶりに表れているように、日本の女たちの感情もすっかり高騰している模様だ。
ところが、「高市さん大人気ですよね、なんせ発足時の内閣支持率71パーセント(読売新聞調査)ですから」と請け合う私に、麗子さんは食い気味に「なのに、ガッカリなのは玉木さん(玉木雄一郎氏)よ~!」と路上でさらなる政治談義を始めた。
「私、玉木さんって昔からメディアでのものの言い方が苦手だったんだけど、いわゆる『年収の壁』撤廃をちょっとはイイかな、日本を変えてくれるかな、って思ってたところだったの。でもあの優柔不断ぶり、結局自分が可愛いのかって言われても仕方ないわよ。吉村さん(吉村洋文、日本維新の会代表)の方がリスクを取る政治家という感じで、言葉も態度もハッキリ、スッキリしていていいわ」
ひとまず総裁選から1カ月たった現状では、高市さんの活躍にときめいて、吉村さんには好感して、玉木さんにはガッカリ、ということになる。麗子さんのこの反応は、ざっくりと女性マジョリティの感想でもあるのかもしれない。







