「2秒」でリサーチを終えるコンサルは
本当に優秀なのか?

 筆者の見立てでは、“生成AI中毒”は若手優秀層に多い。元々は頭のいい人たちだから、最新のツールを上手に使いこなすことは得意だ。ところが、あくまで「人間のサポート役」であるはずの生成AIに、逆に使われてしまっている。

 一例を挙げよう。筆者は「金融機関向けソリューション」を提供している某企業から依頼を受け、同社を取り巻く市場環境の変化を調査したことがある。

 この際、コンサル業界で一般的とされるリサーチ手法は、政府や金融機関が発行しているレポート、オープンになっている統計データ、企業の有価証券報告書などを集めて読み込むというものだ。

 その上で、重要と思われる数値や経営指標などを抽出し、市場規模、市場シェア、顧客企業の立ち位置、競合との差といったカテゴリごとに整理する――というやり方を取る人がほとんどである。業界に相当詳しくなければ、どんなに早くても2〜3時間はかかる。

 だが、この案件に関わっていたコンサルの中には、上記の点について「教えてほしい」という趣旨のプロンプト(命令文)を生成AIに送り、一瞬で答えを得ている人物がいた。

 確かにこの方法を使うと、2秒ほどで人の手によるリサーチと同じ結果を得られる。「出力結果を資料にまとめてほしい」と追加のプロンプトを送れば、30秒もあればExcelやPowerPointにまとめてくれる。

 似たようなアウトプット。片方は2~3時間、片方は30秒。どちらが効率的かというと、後者のようにも思える。