コンサルティング業界に「キラキラした」印象を持っている人がいるかもしれないが、実際はそんなことはない。コンサルの資質・能力は社内で厳格にジャッジされており、基準に満たない人物がプロジェクトから「干される」こともある。その上、「仕事のない社員」を指す業界用語まで存在する。一般的なイメージとは裏腹な厳しい内情を、独立系コンサルの現役社長が解説する。(森経営コンサルティング代表取締役 森 泰一郎)
プロジェクトから「干される」コンサルも!?
「高給取り」の裏にある厳しい現実
コンサルタントは「高給取りのエリート」というイメージが根強いかもしれないが、その内部では厳しい競争が繰り広げられている。
コンサルファームはプロジェクト単位でチームを組むのだが、スキル・経験・評価などが物足りないと判断されたコンサルは、どのチームにも入れてもらえない。いわば「戦力外」に近い状況になる。
コンサルの世界には、この「仕事のない社員」を指す業界用語も存在する。その不名誉な称号とは、いったい何なのか――。「優秀なコンサル・そうでないコンサル」の違いと合わせて、業界の内情を詳しく解説していこう。
まずは前提知識として、先ほど述べた「プロジェクト」とは何かについて解説する。
プロジェクトとは、顧客が抱える課題を解決に導くための支援活動である。具体的な課題としては、携帯キャリアによる「通信以外の新規事業がなかなか立ち上がらない」、大手不動産会社による「DX(デジタルトランスフォーメーション)がなかなか進まない」といったものがある。
これらを解決するために進めるのがプロジェクトだ。筆者の専門分野である「戦略系コンサル」であれば、一つのプロジェクトに要する時間は3カ月ほどである。