生成AIの「丸パクリ」は
必ずボロが出る

 しかし、このコンサルは自分で情報を集め、そこから知見を得て、自分の手で資料をまとめたわけではない。そのため資料の内容をプレゼンしても論理展開が甘く、「自分はこう思う」という説得力や迫力に欠けていた。

 資料の見た目は整っていても、見る人が見れば、生成AIの「丸パクリ」なのは自明である。結果、周囲から意見の根拠などを指摘され、すぐにボロが出ることとなった。本来自分で考えるべき工程をすっ飛ばしているのだから、当たり前といえば当たり前だ。

 このように昨今のコンサル業界では、「自分で物を考える」「苦労して調べる」「現場に足を運んで確認する」といった、いわゆる「額に汗をかく行為」が段々と見過ごされているように思える。

 結果、自分がやるべきことを生成AIに代替させる「薄っぺらい人」が増え、それに伴って「薄っぺらい調査や企画」も増えている印象だ。

 ちなみに筆者は、本来は優秀なのに、何度指摘しても“生成AI中毒”が治らない若手コンサルに向けて、次のように助言したことがある。

「君の生成AIを使いこなす力は、私よりも遥かに高い。でも、このままじゃ自分で考える力やフットワークの軽さなど、君の良さが無くなる。このままじゃ“生成AIバカ”になる。もったいないよ」

 このくらいまで危機感を持って伝えないと、生成AIに毒された優秀層を「自分の頭で考える」というコンサルティング業務の王道に戻せないのだ。