“生成AI中毒者”は
読書で思考力を取り戻せ!

 だが皮肉なことに、このような問題提起を行うと「では、どうすればいいの?」とすぐに答えを知りたがる人が出てくるのもまた事実だ。筆者としては「自分の頭で考えてください」と言いたいところだが、それで記事を終えてしまうのはあまりにおもしろくない。

 そこでヒントをお伝えすると、生成AIの時代だからこそ、読書というアナログな方法で考える力を高め、知識をアップデートしていくことをおすすめしたい。

 その中でも、特にビジネス書の「古典」を推奨する。組織論やマネジメントに興味があれば、ピーター・ドラッカーの著作が最適だ。ビジネスの戦略やマーケティングについて学びたい人は、マイケル・ポーターやフィリップ・コトラーの著作が良いだろう。

 他にも『イノベーションのジレンマ』(クレイトン・クリステンセン)、『キャズム』(ジェフリー・ムーア)、『ブルー・オーシャン戦略』(W・チャン・キム、レネ・モボルニュ) などを必読書として挙げておく。

 古典を読むと、単に知識を得るだけではなく、執筆当時に提唱された理論を現代に当てはめたり、自分の業務に応用する方法を模索したりと、考える力の向上に繋がる。

 最近は『図解で分かる○○』『1分で分かる○○』といった古典の解説書がたくさんある。そうした本も悪くないが、「性急に答えを求めず、じっくり考える力を養う」という今回の趣旨と反するため、できれば避けてほしいところだ。

 ちなみに古典ではないが、「株式会社刀」を率いるマーケター・森岡毅氏が初期に著したマーケティング本も、読みやすいので手に取ってみてほしい。

 年末年始の休暇も近い。コンサル以外の業界も含め、生成AIに頼りすぎている自覚がある人は、この休みに「考える習慣を取り戻す第一歩」として本を読んでみるのはいかがだろうか。

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