オンラインセミナー後には情報交換会を実施

 セミナープログラムの最後――SESSION3は、特別講演「ハーバード・ビジネス・レビューのアンコンシャスバイアス論文を読み解く」だった。「DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー」編集長の常盤亜由子さんが登壇し、SESSION2に続き、広瀬さんがファシリテーターを担った。

 冒頭、常盤さんから興味深いクイズが出された。女性が車の事故に遭った場合に、重傷を負う確率、死亡する確率が男性よりも高い――それはなぜか?というものだ。私は理由を思いつかなかったが、答えは「自動車の衝突安全テストに用いられているダミー人形は、平均的な男性の体格に基づいているから」というものだった。「女性に事故が多いのは、車の運転が苦手な人が多いから」と答える人もいるだろうが、それはアンコンシャスバイアスなのだ。常盤さんからさらにどのような話が聞けるのか、私はセミナーの内容に引き込まれていった。

 講演では、「ハーバード・ビジネス・レビュー」から、4本の論文が紹介された。1本目の論文は、「道徳家ほど己の偏見に気づかない」というタイトルだ。自分自身が倫理的であると思っている人は、“正しさ”を求めるあまり、それがバイアスとなってしまうこともあるという内容だった。

 従業員にバイアスがあるとわかったら、企業はアンコンシャスバイアス研修を行(おこな)ったりするが、専門家の研究によれば、研修をしてもなかなか効果が出ないケースもあるという。なぜか?――その疑問に答えるかたちで紹介されたのが2本目の「アンコンシャスバイアス研修はなぜ機能しないのか」だ。論文では5つの処方箋が示されており、企業の研修担当者の学びが深まる内容のようだ。

 後半は、女性人材の活躍に課題がある現状にフォーカスし、「職場のジェンダー平等を前進させる7つの視点」「女性はどうすればキャリア形成の格差を克服できるか」という2本の論文が取り上げられた。私は後者の論文を実際に読んでみたが、女性自身が壁を乗り越えるための方法がとても具体的に書かれていた。

 紹介された4本の論文は、それぞれ違った角度からバイアスや格差にまつわる問題を取り上げていたが、“堅く、難しいイメージ”はなかった。常盤さんが、広瀬さんとの対話とともに解説していったため、論文の内容を、私はしっかり理解することができた。

 3つのセッションが終了した後は、希望者による情報交換会がオンラインのまま行われた。各人が自己紹介をした後、セミナーを通しての学び、自社の課題などを伝え合った。

 今回のセミナー視聴者の数は運営側の想像以上の多さだったという。「オンラインで無料」ということもあるのだろうが、多くの人にとって、アンコンシャスバイアスは、いま知っておきたいテーマなのだろう。私も、アンコンシャスバイアスはゼロにはできないこと、だからこそ、アンコンシャスバイアスに気づくことが大切なのだと改めて学ぶことができた。今後は、自分の言動を振り返りながら、「気づくこと」に留意していきたいと思う。