オンラインセミナーでわかった、“アンコンシャスバイアス”に気づく意味

「外国人の従業員は日本語が苦手にちがいない」「育休中の女性は出張での仕事を嫌がるだろう」「シニア社員はITには詳しくないはず」――そんな“思い込み”が、職場での会話に散見する。あらゆる属性の人がさまざまな働き方をする昨今、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)を減らすことは、ダイバーシティ&インクルージョンを目指す企業・組織にとって欠かせない姿勢だ。今秋、多くの企業関係者が参加したオンラインセミナー「組織・チームを蝕むアンコンシャスバイアスの対処法」を、「HRオンライン」がリアルタイムで視聴した。(ダイヤモンド社 人材開発編集部)

アンコンシャスバイアスが組織を蝕んでいる

 今秋、「組織・チームを蝕むアンコンシャスバイアスの対処法」と題されたオンラインセミナーが開催された。これまで私は、企業の管理職・マネジャーを対象とした「アンコンシャスバイアス研修」を受講し(*1)、一般社員向けのセルフラーニング型動画研修ツール「アンコンシャスバイアスの対処法」を視聴して(*2)、「HRオンライン」でレポートしてきた。

*1 HRオンライン 企業向けの「アンコンシャスバイアス研修」を受けて、私がわかったこと
*2 HRオンライン 「アンコンシャスバイアス」のセルフラーニング動画を見て、私が気づいたこと 

 そのため、アンコンシャスバイアスについては、多少なりとも知識を得てきたつもりだが、まだ理解の足りない部分もあり、日常でバイアスのかかった発言をしてしまうこともある。

 今回のオンラインセミナーは、立教大学経営学部・中原淳教授のライブ配信による基調講演「組織・チームを蝕むアンコンシャスバイアスの対処法」に続き、「旭化成株式会社におけるアンコンシャスバイアスへの取り組み」「ハーバード・ビジネス・レビューのアンコンシャスバイアス論文を読み解く」という3つのセッションから構成されるものだった。中原教授の講演に加え、実際の企業事例や関連論文など、これまでとは違う角度から学びを深められそう――そんな期待感をもって、パソコン画面に向き合った。

 開始時間が近づくと、オンラインセミナーの視聴者(主に、企業の人事担当者)が続々と集まってきた。「どこからアクセスしていますか?」「そちらのお天気は?」と、中原教授がチャットで問いかけると、「シェアオフィスから参加しています」「こちらは良い天気です」など、全国各地からの回答が寄せられた。中原教授がさらにコメントを返して、開始前から、セミナーの温かい空気が出来上がっている。

 SESSION1の基調講演は、中原教授と、当セミナーの運営者の一人である西村衣織さん(株式会社ダイヤモンド社・HRソリューション事業室)との対話形式で行われた。西村さんは中原ゼミ(立教大学・経営学部)の卒業生で、師弟関係ならではの打ち解けたやりとりが、和やかな雰囲気をつくっていく。

 最初に、西村さんが「そもそも、アンコンシャスバイアスとは何なのでしょうか?」という問いを中原教授に投げかけた。すると、中原教授は「この属性・集団の人はきっと○○だろうという無意識(アンコンシャス)の偏見(バイアス)のことです」と端的に答え、「意識できないからこそ、なかなか気づかないもの」と補足した。そして、アンコンシャスバイアスの事例が画面上で紹介され、ジェンダーのみならず、国籍や年齢など、さまざまな属性に対しても、アンコンシャスバイアスが潜んでいることを私は改めて実感した。

 中原教授が、「アンコンシャスバイアスは、誰もがゼロにはできません」とセミナー視聴者にはっきり告げる。ゼロにできないからこそ、どう対処するかを知る必要がある――それが、アンコンシャスバイアスに向き合うための正しい姿勢なのだろう。