戸籍謄本を取り寄せ
まずは法定相続人を特定

 故人(被相続人)の財産を誰が相続するかは重要な問題です。そのため「相続人になれる人」の範囲は民法で決まっています。

 相続の権利がある人を法定相続人といいます。

 法定相続人は配偶者のほか、故人と血のつながりのある人(血族)、つまり子、孫、父母、祖父母、兄弟姉妹。「子」には実子や養子も胎児も含まれます。離婚して別の戸籍になっている子も、認知のみしている子も法定相続人になります。

 一方で、配偶者は婚姻関係があることが大前提。内縁の妻は認められません。

 法定相続人の範囲内にあっても、その全員が相続人になるわけではありません。配偶者は常に相続人ですが、それ以外の人は相続の順位が決まっています。子がいる場合、配偶者に加えて「第1順位」の範囲が相続人になります。子がいなければ「第2順位」、親も死亡していれば「第3順位」が相続人になります。

 つまり、相続の第一歩は法定相続人の特定から始まるということ。故人の戸籍から子の有無や人数を確認し、そのうえで相続人を決める必要があるのです。戸籍謄本は、故人の本籍地からとり寄せましょう。

相続でもめるかどうかは
財産の多さとは無関係

 相続はきちんと準備しておかないと家族を「争族」に変えかねません。一般社団法人相続解決支援機構の調査によると、「相続時に相続人ともめた経験がある」と答えた人は全体の33%にも上ります。

「でもそれは一部のお金持ちの話でしょ。ウチの親には大した財産もないから大丈夫」と思うかもしれませんが、それは違います。

 最高裁判所が毎年発行している『司法統計年報』を見ると、家庭裁判所での相続争いの調停・審判のうち、3割以上が遺産額1000万円以下。「争族」は誰にとっても無縁ではないのです。

 特にトラブルになりがちなのが、

・遺産が不動産中心で現金が少ない
・親の介護の負担に不平等があった
・生前、親から受けた支援にきょうだいで差がある

 などの例です。相続のときに意見が割れてモメる原因になりがちです。