そのほかにも、親に離婚歴があってその相手との間に子がいる、あるいは内縁の子を認知している、ということが亡くなってからわかるケースもあるので、先に確認しておくことも必要です。

相続でもめたケース1
生前の口約束が信用できない

 Aさんは3人兄弟の末っ子。母は10年前に亡くなり、父が亡くなったあとには自宅の土地と家屋と、預貯金500万円程度が遺された。

 長男である兄は「親父は生前、『この家は長男であるおまえに渡したい』と言っていた。預貯金は全部2人に渡すから、この家はオレにくれないか?」と言う。

 しかし、家と土地の評価額は約3000万円。金額が釣り合わず、不信感がぬぐいきれない。

 口約束は遺言として認められません。長男は父に遺言書を書いてもらうべきでした。長男が家と土地を相続する場合、Aさんと次男に代償金を支払ってもらうよう話し合いましょう。

相続でもめたケース2
親の介護をしても遺産は等分?

 Bさんは3人兄弟の長男。シングルマザーの母を10年間ひとりで介護して看取った。遺言書はなかったので、2人の弟は「遺産は3分の1ずつ、公平に分けよう」と言う。

 しかし弟たちは介護を全部兄にまかせて、年に数回会いに来る程度。Bさんが介護のために自腹を切った費用もかなりの額になったため、同額が「公平だ」とはとても思えない。「おまえたちは何もしなかったくせに」とBさんは怒り爆発。お互いに口もきかない状態に。

 長期にわたる介護など、故人に対する労務を提供した場合、特別寄与料を相続人に対して請求することができます。介護での出費は領収書を残しておくことが大切。

相続でもめたケース3
自宅を売りたい子と住みたい母の対立

 Cさんの父親の遺産は自宅だけだった。母親はこのまま自宅に住み続けると思っているが、Cさんは相続分を現金で受けとりたいと考えている。

 母に「自分も相続する権利があるので家を売りたい」と言うと、「親を家から追い出すつもりなのか。とんでもない親不孝だ」と激怒されてしまった。このまま何も受けとれないのか。