人と会話をすることが当たり前の営業パーソンなどは、大きな声で話してくれるので、聞きとりやすいことが多いのですが、日常的に声を出す習慣のない部署や、ビジネスチャットで仕事の会話が成り立つ人は、概して声が小さくなる傾向にあります。

 以前、技術者対象の研修を行った際に、ほとんどの方の声が小さくてびっくりしたことがあります。中には「普段はパソコンとにらめっこなので、久しぶりにリアルで人と話しました」と言う方もいて、笑ってしまいました。

 説明上手は、相手に聞こえる声の大きさで話をします。日本語は「◯◯しました」「◯◯しません」「◯◯したくない」と、最後まで聞かないと内容を把握できない言語です。それなのに、話し終わりがだんだん小さな声になってしまったら、結局「◯◯したのか」「◯◯しなかったのか」結論が聞きとりづらくなります。だから、最後まで、相手が聞こえる声の大きさで話すことがとても大切なのです。

会議で部下を眠らせる人の“話し方の共通点”とは?イラスト/村林タカノブ(同書より)

 また、声は普段から出しておかないと、出にくくなります。

 声帯は主に筋肉でできているため、足腰の筋肉と同様、使わなければ衰えます。次第に声帯は細くなり、ますます声が小さくなってしまうのです。

 声が小さいことにお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。普段から積極的に声を出すことで、改善していきましょう。

 いきなり大きな声を出す必要はありません。声を届ける位置を、いつもより遠くに設定すればいいのです。

本番で大きな声を出すために
日常からできるトレーニング

 この距離感をつかんで、大きな声を出すための練習法として、「バスケットボイス・トレーニング」をご紹介します。

1:自宅にある箱など何でもよいので、目印となるものを3個用意します。

2:自分から1m、2m、3mと離れた場所に、それぞれ箱を置きます。

3:1m離れた箱に向かって「おーい」と呼びます。これが「ボリューム小」です。

4:次に2m先の箱に向かって「おーい」と呼びます。「ボリューム中」です。

5:最後は3m先の箱に向かって「おーい」と呼びます。声を飛ばすようなイメージです。これが「ボリューム大」です。

 このトレーニングに慣れてくれば、3段階の声のボリューム調整ができるようになります。普段は「ボリューム小」でも、会議の席では「ボリューム中」か「ボリューム大」に調整するのです。ポイントは、声を届ける位置を遠くに設定することです。

 声はエネルギーです。エネルギーに満ちた声で、相手に説明を届けましょう。