とくに、部下と上司が定期的に1on1ミーティングを行うことは、部下の成長を促すマネジメント手法として不可欠です。これが組織風土を改革するための根幹になります。

 人事の側面から言えば、従業員の強い想いであるキャリア自律のことをきちんと話してほしいし、部下の成長をそこから促してほしいと思います。それで最終的にメンバー一人ひとりの幸せが実感できるような組織風土を作ることが、組織が強くなって会社も発展することにつながります。

 1on1ミーティングの最大の目的は部下の話を聴き切ることに尽きます。上司が自慢話をする場ではありません。話を聞いてくれる人には心を許すし、お互いに理解が進めば自ずと心理的安全性が醸成されます。

 1on1ミーティングをスムーズに進める魔法のキーワードがあります。

 それは、「What do you think?」(君はどう思う?)という問いかけです。

 メンバー、部下の意見を聞くというのは非常に大事なことです。上司の立場で言えばメンバー一人ひとりの想いをきちんと理解する意味があります。

 人は誰でも相手を理解している人には仕事を頼みやすくて、あまり知らない人には、そもそもこんなことを彼、彼女にできるのかがわからなければ頼めません。

 ですから、みんなに平等に機会を与えるのは上司として大事なことですが、そのためには相手を平等に知っておかなければいけません。

自分の意見を話すことは
成長のスイッチにもなる

 私の経験ですが、バイエルメディカル時代の上司のルイス社長は「What do you think, Miki?」とよく質問してきました。

 上司から意見を問われるので、こちらとしては常日頃から自分で考えて意見を持っておかなければいけません。

 ルイス社長は、グローバルCEOを交えてのタウンホールミーティングや経営会議の後に、「美樹、どう思う?」と聞いてくるのが常でした。それまでは私は、なんとなく会議の内容を聞いているのではなく、CEOが来たときは彼の言っていることを一生懸命覚えようとしました。