しかし、「覚えることと自分の意見を持つことは違う」とこのとき初めて思いました。

「CEOは何と言っていた?」と質問されれば聞いたとおりに答えればよいわけですが、「お前はどう思う?」と言われたら、CEOの話を受けて、自分の立場でどう行動するかまで考えておかなければなりません。

 CEOの言っていたことが「良いのか悪いのか?」「実行可能なのか?」「自分ならどうするのか?」というレベルまで落とし込む必要があります。

 つまり、「What do you think?」は部下を理解するのと同時に、部下を成長させるための言葉でもあるわけです。私自身、上司とのやり取りの中で自分の成長曲線の角度が上がったと感じました。

 よくワンマンの社長などで部下の意見を聞かず、一方的にあれこれ指図する人がいますが、そういう人には「部下の意見を聞かれたらいかがですか?」とアドバイスします。

 そして、「部下は最初、恐るおそる意見を言ったり、ピントはずれのことを言うかもしれません。それでも『ありがとう』と笑顔で返してください」と。

 こうすることで、必ず組織は良い方向へ変わります。

 上司が笑顔で「ありがとう」と言うと、部下は嬉しくなります。その部下の笑顔が忘れられなくて、「君、どう思う?」と聞くのが口癖になったというリーダーもいます。