「子どもが就活で失敗して引きこもりになってしまいました」
『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』は、特別な経歴や夢がなかった“普通の就活生”である著者が、1000冊以上の本を読み込み、自分に合った就活メソッドを築き上げ、食品大手を含む22社から内定を獲得した実体験をもとにした、どんな学生でも内定に近づく一冊です。「自己PRで話せることがない」「インターンに参加していない」といった就活に不安を抱く学生と、そっと背中を押したい保護者に読んでほしい就活戦略が満載です。今回は、就活中の子どもとの関わり方について著者である藤井氏が特別に書き下ろした記事をお届けします。

就活 ひきこもりPhoto: Adobe Stock

人手不足の世の中ではいつからでも再起できる

就活に失敗してしまって、息子さんが引きこもりになってしまったという親御さんから相談を受けたことがあります。

「大学生の息子が就活で失敗して引きこもりになってしまいました。私にできることはありますか?」

そう聞かれたとき、まずお伝えしたことは親御さん自身が焦らないようにして欲しいということでした。

親御さんの焦りは本人に伝わります。そして、余計にプレッシャーを与えてしまう。

だからこそ、まずは親御さんが今の状況に対して焦らないことが大切です。

そして、実際に焦らなくて良い状況でもあります。

それは多くの企業が人手不足だということです。

株式会社帝国データバンクの調査*によると、2025年7月時点で「正社員が不足している」と回答した企業は50.8%でした。つまり半数の企業は正社員が不足していると回答しています。

だからこそ、就活に失敗して引きこもりになったとしても、いつからでも正社員として採用されることは十分可能です。そう考えて親が焦らないようにすることから始めてみてください。

引きこもりになってしまったお子さんに対して、「急かし」が最もしてはいけない行動だと僕は考えています。

原因を探ろうとしない

次に、親御さんに意識してほしいことがもう1つあります。それは原因を探ろうとしないことです。

本人が就活に対するやる気があって、それでも失敗している状態であれば、一緒に「今の状況になっている原因」を考えあげることは良い支援になります。

一方で、引きこもりになってしまっている状態で原因を探ろうとするのは、本人に余計にプレッシャーを与えてしまい、行動できなくしてしまいます。

実際に、僕も起業した当初、何もかもうまくいかずに虚無感に襲われたことがありました。そのときに周りから「原因を一緒に考えよう」と言われたり、「頑張ろう」と応援されたことがありましたが、その時の自分にとっては「面倒だ…」と余計にやる気が削がれたんです。

原因の追求を本人に勧めることは、行動の躊躇に繋がりかねないのです。

日常の自然な関わりとほんの小さな1歩を提示する

では具体的にどう接していけば良いのでしょうか。もちろん人によって最適な関わり方は異なるので、正解はありません。ですが「日常の自然な関わり」は非常に大切だと考えています。

「引きこもり」というレッテルを張ったり、過度に慎重になるのではなく、これまで通り自然に関わることで家庭を、安全圏であると考えてもらいましょう。

そして時間の経過によって、少しずつ心が癒えてきたら、ほんの小さな一歩を提示してあげてください。

「スタバのギフト券もらったから良かったら行ってくる?」
「図書カードもらったから漫画でも買ってくれば?」

外に出るきっかけを与えてあげましょう。

そして、少しずつ自然に会話できるようになれば、「正社員が全てじゃないこと」や「週5日働くことが全てじゃないこと」を伝えてあげてください。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

*「人手不足に対する企業の動向調査(2025年7月)」株式会社帝国データバンク(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001134.000043465.html)

(本記事は『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』に関連する書き下ろしです