保有比率は34%!
エヌビディアの株価と連動するETFに注目
まず、米国の半導体関連株指数に投資するインデックス型のタイプから。
(1)の「グローバルX半導体ETF」は「フィラデルフィア半導体株指数 (SOX)」に連動するもの。この指数は米国の証券取引所に上場している主要な半導体関連企業30銘柄で構成され、米国の半導体業界のベンチマークとして広く認知されている。半導体の設計、製造、装置、販売など、サプライチェーン全体を担う企業が対象。エヌビディアやインテルなどの代表的な米国企業に加え、台湾のTSMC、オランダのASMLといったグローバルな半導体大手も含まれる。米国の王道AI・半導体関連株の成長に乗ったリターンが狙えるETFだ。
一方(2)の「NEXT FOUNDS S&P500半導体・半導体製造装置35%キャップ指数連動型上場投信」は「S&P500半導体・半導体装置35%キャップ指数」に連動する。S&P500に採用されている半導体・半導体装置企業に特化した約20銘柄が対象で、(1)よりも銘柄の範囲が絞られているのが特徴。また、1銘柄あたりの組入の上限が35%と高く設定されており、集中投資してハイリターンを狙うタイプの指数といえる。2025年10月末時点では、組入銘柄1位がエヌビディアで33.8%。そのため、エヌビディアの株価との連動性が高いETFになっている。
日本株に投資するETFでは
10銘柄の超厳選投資タイプも!
次は、日本の半導体関連株指数に投資するインデックス型ETFをみていこう。
(3)「NEXT FOUNDS 日経半導体株指数連動型上場投信」、(4)「上場インデックスファンド日経半導体株」、(5)「MAXIS日経半導体株上場投信」の3本は全て同じ「日経半導体株指数」に連動するもの。この指数は、東証に上場する半導体関連の時価総額上位30銘柄で構成される。日本における半導体の代表的な指数で、日本のAI・半導体関連株の成長に乗るオーソドックスなETFと言える。この3本は、設定もほぼ同時期。同じ指数に投資するため当然ながら運用成績にほとんど差はない。信託報酬は全体的に低めだが、(5)「MAXIS日経半導体株上場投信」が最も低い。純資産総額の大きさでは(3)「NEXT FOUNDS 日経半導体株指数連動型上場投信」が頭一つ抜けている。
(6)「グローバルX 半導体関連-日本株式 ETF」と(7)「グローバルX 半導体・トップ10-日本株式 ETF」は、(3)~(5)とは異なり、銘柄が厳選されているテーマ型の指数が対象になっている。
(6)は「FactSet Japan Semiconductor Index」に連動する。この指数は“半導体関連の売上高比率が50%以上”という企業を中心に、時価総額上位30~40銘柄を対象にするもの。売上高の基準があるため、より半導体ビジネスに特化した純粋な半導体企業群に投資できるETFだ。ただ、組入銘柄数は今回取り上げている中では比較的多い。
一方の(7)は「Mirae Asset Japan Semiconductor Top 10 Index」に連動。この指数は、日本の半導体関連企業の時価総額上位10社で構成。(6)ほど半導体企業としての“純度”は求めていないものの、対象が10銘柄という超集中投資型のETFだ。当然値動きは激しいが、その分高いリターンが期待できる。信託報酬が(6)に比べて圧倒的に低く、(3)~(5)と比較してもさらに低い。
最後は唯一のアクティブ型ETFだ。
もともと日本のETFでは指数に連動するインデックス型だけが上場を認められており、アクティブ型が上場できるようになったのは2023年から。そのためアクティブ型は本数が少ないが、最近になって急激に増えてきている。(8)の「iシェアーズ AIグローバル・イノベーション アクティブETF」は2025年9月に上場したての新顔だ。
アクティブETFは、アクティブ型の投資信託同様、特定の指数に連動するのではなく、運用担当者が銘柄を選定し、指数以上の成績を目指すもの。このETFは、米国を中心とした世界のAI関連企業に投資を行う。世界最大手の運用会社であるブラック・ロックが手掛け、運用担当者がハイテク企業への投資経験が25年以上というベテランのトニー・キム氏であることも注目されている。
2025年9月末時点の運用レポートでは、組入上位10銘柄にはエヌビディアやブロードコムといった米国の主要なAI・半導体関連企業を始め、日本のソフトバンクや台湾のTSMCも含まれている。まだ設定されたばかりだが、指数を上回る運用成績となるかどうか、今後に注目だ。東証に上場するアクティブETFでは、AI・半導体関連銘柄に特化して投資するタイプは今のところこの1本しかない。
「オルカン」や「S&P500」を保有中なら
日本の半導体関連のETFを選ぶのもアリ
冒頭に述べたとおり、NISAの年間限度枠ギリギリまで埋めたい場合などでは特に、ETFは使い勝手がよくおススメだ。NISAで買うなら、すでに投資している商品との組み合わせ方もポイントになる。(1)(2)と(8)は、外国株に投資するため、為替の影響を受け、円安はプラスに、円高はマイナスに働く。例えば、米国株が上昇していても、円高ドル安局面であれば、為替が足を引っ張り、円換算でみた資産は伸びない。それを考慮すると、NISAですでに全世界株型の「オルカン」やS&P500連動型のインデックス投信を持っているなら、AI・半導体関連のETFは、為替の影響を受けにくい日本株に投資する(3)~(7)から選ぶ、というのもいいだろう。
今回取り上げたETFは、設定から間もないものも多く、現時点では成績で判断するのが難しい。だが、長期で投資するなら、できるだけ信託報酬が低いものを選びたい。また、ETFはリアルタイムで売買できるものの、純資産額が小さく、流動性が低いETFは自分が希望する値段で買えない(売れない)可能性もあることは頭に入れておこう。
(注)掲載したETFのデータは、「iシェアーズ AIグローバル・イノベーション アクティブETF」は2025年9月末時点、その他は2025年10月末時点。
本記事は2025年11月23日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。










