10月31日に過去最高の終値を更新した日経平均株価10月31日に過去最高の終値を更新した日経平均株価 Photo:SANKEI

10月末、終値初の5万2000円台
企業利益は微増だが、株価は急騰

 日経平均株価はこの秋以降、急騰が目立っている。

 2022年以降ほぼ2万円台だったのが、24年から4万円台になった。ところが、今年10月9日には、終値で初めて4万8000円台になり、さらに20日には4万9000円台、そして27日には「5万円」の大台に乗った。

 その後も上昇は止まらず、10月31日には終値は5万2411円34銭と、史上最高値を更新した(図表1)。11月に入っても5万~5万1000円台と活況を続けてきたが、11月18日には、前日から1620円と大幅に値を下げ、約4週間ぶりに4万9000円台を割った。変化の兆しなのだろうか?

 今後を考える上でも、まずは株価の急騰と企業の利益の増加具合を見てみよう。

 法人企業統計調査で金融機関を含む全産業につき、資本金10億円以上の企業(大企業)の経常利益の推移(図表2)を見ると、増加はしているものの、あまり大きな変化ではない。

 つまり、今年9月以降の株価の急騰は、日本企業の利益が急増したために生じたものではない。

 なぜ株価が急騰したのか?それは、株価は現在の企業利益だけで決まるのではなく、将来時点での利益の見通しによっても大きな影響を受けるからだ。

 この数カ月間に何が変わったのかといえば、石破茂氏が退陣して高市早苗氏が自民党新総裁となり、日本維新の会と連立政権を組んだ。高市政権が、拡張的な財政政策を行うことによって企業の利益が増えるとの期待が高まり、将来の株価がそれによって上昇すると予想された。

 このため、現時点で株式に投資をすることの利益が増えると評価されたのだ。

 だが将来起こることの予測は、確実な根拠に基づいている場合もあるし、そうでない場合もある。あやふやな根拠に基づいて、現在の価格が上昇してしまうこともあり得る。これがバブルだ。

 今の株価急騰を考えるには、この当たり前のことに改めて留意する必要がある。