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公明党の連立離脱から首相指名直前まで「高市トレード」で株は急騰、最高値を更新した。その後一転伸び悩み、格言通り“噂で買い、事実で売る”展開となったものの、週明けの27日に日経平均株価は続伸し、初めて「5万円」の大台を突破した。日本株はどこまで上昇し、株高はいつまで続くのか。今後はサナエノミクスの実行度と第2四半期決算の増額修正の有無が焦点だ。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
高市首相誕生前に期待で買われ
誕生後に事実で売られる
「噂で買って事実で売れ」という相場の格言がある。噂や期待が高まっているときに買って、その噂や期待が事実となったときに売れば儲かる、というわけである。
いわゆる“高市トレード”に沸いた日本の株式市場の動きは、この格言の通りとなった。
10月4日の自由民主党総裁選挙で高市早苗総裁が誕生した。その前後は、首相就任期待から株価は上昇基調だったが、同月10日の公明党の連立離脱を受けて高市総裁が首相に就任する可能性が低下したことから、連休明けの14日は日経平均株価が1241円下落した。
しかし、15日は高市総裁が立憲民主党、国民民主党、日本維新の会の代表と協議を始めたことが伝わり825円高、同日夜に日本維新の会と連立協議入りが明らかになると、16日も605円高となった。
維新と連立で合意し、高市氏の首相就任が確実になった20日には1603円高の4万9185円で引けた。そして首相指名選挙が行われる21日は、投票直前の前場終値が4万9929円と、5万円寸前まで上昇。ここまでは高市首相誕生への期待が相場を押し上げた。
しかし、衆議院での選挙が午後1時に始まった後の後場に入ると、日経平均は下落に転じ、前日比では130円高の4万9316円で引けた。高市首相誕生が現実になった段階で、いわば“事実売り”が出た形だ。
22日も3円安、23日もトランプ米大統領が米国製ソフトウエア搭載製品の対中輸出規制を検討しているとの報道で米中対立再燃が懸念され、前日の米国株安も重なって666円安の4万8641円と続落した。
週明けの27日からは高市首相への政策実行への期待が膨らみ始めた。その契機は週末に各媒体の世論調査で高市内閣の高支持率が報じられたことだ。24日の米国の消費者物価指数の上昇率が市場予想を下回ったことで利下げ観測が高まったことや、米中対立懸念の緩和もあり、日経平均は前週末比1212円高の5万0512円と初めて5万円の大台を超えた。
ただ、高市首相が市場の期待に応えるだけの政策を実行に移せなければ期待はしぼみ、株価は下落するだろう。次ページでは、高市政権の政策動向、業績動向を検証しつつ今後の株価を予測していく。








