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米AI株高への連れ高に加え、高市政権への政策期待から、日経平均株価は10月に一気に5万円を突破した。月次ベースでは、30余年来の上昇率となった。その米AI株高にはバブル論争がある。一般論として、相場がバブルかの判断は破裂する前には下せない。日本株相場もまた、バブルとは言えなくても、とても平常と言えない熱量には留意が必要だ。(楽天証券グローバルマクロ・アドバイザー TTR代表 田中泰輔)
高市政権の好スタート
連立再編と国民支持率70%のインパクト
高市早苗政権の誕生を好感し、日本株市場は高市トレードに沸いている。日経平均株価は10月末に5万2411円を付け月間で7500円近く上昇した。月間上昇率は16.6%超であり、1990年のバブル破裂での急落に一時的に反発した同年10月時以来の上昇率である(図表1参照)。
高市政権の政策への期待は大きい。アベノミクスを継承し、保守的、積極財政によるリフレ派、改革志向とされる。ただし、その政策の実現には、左寄りの政治勢力、多くのメディア、財務官僚らの強力な抵抗が想定された。
筆者は1カ月前、高市早苗氏が自民党総裁選挙で勝利した直後の当欄で、それら抵抗勢力と対峙するには、少数与党としての立場の弱さを挽回する連立政権の枠組みの確立が必須とした。そして、スタート時の国民からの支持率の高さが条件になると論じた。
その点で、高市政権は順調すぎるほどの滑り出しとなった。高市自民党総裁は、公明党との連立を解消し、日本維新の会との新たな連立によって、無事に首相の座に就いた。主要閣僚ポストに自らの言葉で政策を語ることができるプロフェッショナルな人材を配置し、国民への直接のアピール力を高めている。
各種世論調査で、高市政権の支持率は70%前後と、歴代トップ級である。さらに、首相就任直後にトランプ米大統領との会談、マレーシア開催の日本ASEAN(東南アジア諸国連合)会議、韓国開催のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)、そこでの日韓、日中トップ会談と、外交でも存在感を示した。
次ページでは、高市トレードの背景を検証しつつ、取るべき投資スタンスについて分析する。








