自分の意思でお金を払う消費者がいるのであれば、道端で拾った石を、1つ5万円で売っても犯罪にはならない。それ以前に、買いたいと思う者がいるか否かに関わらず、人は何をいくらで売っても構わないのだ。売り手には値付けの自由があり、買い手には買わない自由がある。
実業家の前澤友作氏は、バスキアの絵を123億円で買った。別の形に“翻訳”すれば、前澤氏は世界堂で売られているようなキャンバスと絵具とスプレー塗料に、100億円以上の金を払ったということになる。個人の意思を尊重する――自由にはそんな面もある。
ナイトビジネスで大成功を
収める可能性がある人
黒でなければ、黒ではない。法の原則「推定無罪」をわかりやすく書くと、こうなる。《大声禁止》という張り紙があったとしよう。大きな声を出すことはダメ。ならば声を出さずに、パンッ、パンッと力強く柏手を打ったり、エレキギターをかき鳴らすのはどうか。
《大声禁止》は「大きな音を出すことを禁じている」のだから、柏手も楽器も禁止に決まっている。自然とそう考えられる人は、デイタイムのビジネスと水が合うかもしれない。昼間の商売は「黒でないこと」よりも「白であること」が重視される。
他方、《大声禁止》を「大きな声だけが禁止されている」のだから、柏手も楽器も楽しんでいい。ルールを頓智でハックするのが面白いんだ――そういった感性の持ち主は、ナイトビジネスで大成功を収める可能性を秘めている。
ナイトビジネスを規制する風営法などの法律は時代とともに少しずつ改正されてはいるものの、基本的には昔からあるビジネスモデルを想定して作られているからだ。新しい業態については、風営法も想定していないことが多く、法の隙間や抜け道が多い分野だ。
だが同時に、抜け道探しばかりに夢中になっていると、最初は灰色だった世界からだんだんと陰が濃くなり、いつの間にか真っ暗な闇に飲み込まれてしまっていることに気づかない時もある。おまけに、そうした人たちは、アイデアにあふれた陽気な自由人のようなキャラクターをまとい、さりげなく近づいてくるのだ。







