アリ写真はイメージです Photo:PIXTA

SNSでの対立や価値観の分断が深まるいま、私たちはどうすれば他者と共生できるのか。そのヒントは、意外にもアリの習性にあった。生存環境が厳しい北に住むアリほど、よそ者に対して寛容で協力的になることが実験でわかったのだ。アリが示す、多様化する社会で生き延びる知恵とは?※本稿は、岡山理科大学理学部動物学科教授の村上貴弘『アリ先生、おしゃべりなアリの世界をのぞく』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。

ムツゴロウさんをきっかけに
自然や動物に関わる仕事がしたいと思った

 小学6年生のときに、ムツゴロウさんの著作に出会い、「動物王国で働きたいなぁ」との思いが頭をよぎった。

 が、社会から引きこもるのが目的ならお門違いも甚だしい、という畑さん(編集部注/「ムツゴロウさん」こと畑正憲氏)の手厳しい一言で目が覚め、「そうか、もう少し社会と関わる仕事を考えよう」と思った。そして野生鳥獣の獣医が良いのではないか、という考えに行き着いた。中学高校の間はその方向で頑張っていた。

 ただ、高校2年生に入りさらに詳細に調べてみると、獣医師の大半はイヌやネコなどのペットを診るのが仕事で、野生鳥獣を取り扱う獣医師はほとんどいないことがわかった。また、そういった希少な方々もほぼボランティアのような活動らしい。それでは生きていけない。獣医師という選択肢は徐々に頭から離れていった。

 次に、環境省(当時は環境庁)の国立公園のレンジャー(自然保護官)になろうと思った。

 高校時代、このことを友達に話すと、ほとんどの人から「自衛隊に入るの?」と問い返され、「レンジャー部隊じゃないよ、国立公園の自然保護官だってば!」と言うのがお決まりのパターンだった。それくらい認知度の低い仕事であった。